武藤敬司引退興行の結果は新日本完勝、NOAH完敗だったのか

オカダカズチカ、清宮海斗【撮影:koba】
プロレスリング・ノア




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の興行だったにも関わらず3万人の動員を記録したプロレスリング・ノア(以下NOAH)主催興行の武藤敬司引退大会。

約5千円するPPVチケットも、推定で10万件以上の視聴数があったと報道されてきます。

PPV中継を行ったABEMAの格闘チャンネルの北野雄司エグゼクティブ・プロデューサーによると「数は言えないですが、プロレスのPPVとしては21日朝の時点ですでに過去最高の数字でした」。推定で10万件以上の視聴数と思われる結果に「PPVをやる上での新たな方法を武藤さんに示していただいた」と話した

グレート・ムタがWWEの中邑真輔と対戦した元日の日本武道館大会や、ムタのラストマッチが行われた1月22日の横浜大会、乱入したオカダ・カズチカが清宮海斗をレインメーカーでKOした今月12日の大阪大会を配信。こうした経緯を挙げて「無料で見てもらって盛り上げて、決着が気になる人はPPVで見てもらうという一つのパッケージができました」と手ごたえをつかんだ。

 これを聞いた武藤からは「アメリカは35年くらい前からそうだぞ」と言われたというが、北野エグゼクティブ・プロデューサーは「武藤さんに0を1にしていただいた感覚です。本当に感謝しています」。希代の天才のラストマッチは、今後のプロレス配信にも影響を与えそうだ。

引用:東スポWEB

 

一方でSNSのタイムラインに違和感を覚える投稿を目にしました。

▪︎オカダが清宮に勝ったのは当然の結果

▪︎全く危なげない貫禄勝ち

▪︎オカダ完勝、清宮完敗

▪︎レェェェヴェルが違う

 

確かに30分一本勝負の予定を時間無制限に変えて欲しいと要望したのは清宮海斗ですし、試合時間が16分32秒だったことから、ルールを変更した意味がなかったという言い分は分かります。

一方で清宮のルール変更の趣旨は、世紀の一戦が引き分けになる可能性を排除したかったからでしょう。

戦前、チャンピオン同士の対決が引き分けに終わる可能性はファンの間でも危惧されていました。

そのファンの心配を排除するための清宮のルール変更です。

 

個人的にはTwitterのタイムラインや公式ツイートのリプ欄のように、2人にそこまで差があったとは思っていません。

例えば清宮の腕攻めにオカダが劣勢だった場面。

かなり痛がる素振りを見せたオカダですが、その腕を取りキーロックなどの関節技に清宮が移行していたら、試合内容は大きく変わっていたでしょう。

 

試合時間に関しても、オカダは序盤から攻め急いでいました。

開始早々から大技を狙い仕掛けての16分間という試合時間は、決して短くありません。

また最もオカダが完勝に見えた理由は、1度目のレインメーカー後のカウントを自ら止めたことが起因しているのでしょう。

完膚なきまでに倒したかったオカダの姿勢が、清宮を圧倒したように見えたというのが私の感想です。

 

SNSのオカダ完勝ツイートも私が感じた違和感も、一個人の感想に過ぎませんが、興行自体も新日本の完勝、NOAH完敗とも取れる呟きにはやっぱり違和感を感じるます

武藤敬司の引退試合があったから東京ドームを満員にできたという呟きも目にしましたが、本当にそれで東京ドーム大会がNOAH完敗と言えるのか?

個人的には今回の東京ドーム大会はNOAHの完勝だったと思っています。

 

東京ドーム大会がNOAH完勝だったと言える理由

 

誤解の無いよう補足しますが、今大会がNOAHの完勝であっても誰かの完敗だっという意味ではありません。

平日の東京ドーム大会で3万人を越える動員は、2023年の国内プロレス興行において最多動員ではないでしょうか。

武藤敬司の引退試合があったから3万人を越える動員、推定10万件を越える視聴者数を記録できたというのは事実です。

 

一方でNOAH以外の団体が武藤敬司の引退興行を開催していたら、ここまでの動員を記録できたかは疑問が残ります。

それは新日本プロレスでも例外ではありません。

そもそも東京ドームという箱を準備する勇気はなかったと思っています。

 

2021年2月に武藤敬司と正式契約したNOAHですが、還暦間近の武藤にまだまだ市場価値があると信じ、その価値を最大限に生かすことができたのはNOAHの手腕です。

単体の引退興行ではなく、数年掛けて武藤敬司をフィーチャーし、再度商品価値をファンに認識させることが、3万人動員・推定10万件以上の視聴数という結果に繋がったんだと思います。

 

オカダカズチカ vs 清宮海斗、高橋ヒロム vs AMAKUSAのチャンピオン対決は、新日本の2戦2勝という結果でしたが、王者対決を実現できこと自体がNOAHの勝利だったと思っています。

武藤敬司が引退試合の相手に内藤哲也を指名したことも、これ以上ない最高の人選です。

史上初となるIWGP王者とGHC王者の対決を、ヘビーでもジュニアでも実現できたこと、内藤哲也を引退試合の相手に指名できたこと、さらにNOAH対全日本プロレス、NOAH対ドラゴンゲートを実現できことが、多くのファンのアンテナに引っ掛かりました。

ここまでのオールスター戦を実現できたのは、今のNOAHという団体の実力値です。

 

プロレスにおいて勝利のみがすべてではなく、『勝った負けた、そんな小さいことで俺らこのプロレスしてない』と発言したのは某カリスマレスラーです。

勝者にも敗者にも新たなドラマが始まり、一歩一歩の歩みをどう進み、どう魅せるかが重要でしょう。

一言で大会を総括するなら、今回の東京ドーム大会は大成功だったと思います。

そして、その大成功興行を主催したのはNOAHだったという事実です。