5月3日には杉浦軍と金剛の全面対抗戦、5月10日にはグレート・ムタと魔流不死の共演に、多くの視聴者が贅沢な気分を味わっていたのではないでしょうか?
“NOAH Stay Together” と題して行われた両大会は、インターネットTVサービスの「ABEMA」で無料で放送されたのですから。
ABEMAでは視聴者のコメントでもSNSのタイムラインでも、あれだけの試合内容を無料で見れたのは贅沢だという反応が多く見受けられました。
今年サイバーエージェント傘下になったプロレスリング・ノアは、同じグループ会社であるDDTのオンデマンドサービス「DDT UNIVERSE」で大会が配信されるようになっています。
NOAHファン待望のオンデマンドサービスに、DDT UNIVERSEの配信を強めるものとばかり思っていました。
今までNOAHの大会を視聴できなかったファンの多くは、DDT UNIVERSEに加入したことでしょう。
NOAHが積極的に無観客試合を行う理由の1つは、このオンデマンドサービスの加入推進のためだと思っていました。
しかし、5月前半に行われたTVマッチ3大会の内、2大会はABEMAでの放送。
5月後半に発表されたTVマッチ2大会に関しては、両方とも無料視聴可能なABEMAでの放送です。
なぜ、NOHAは無料で視聴できるABEMAでの放送を選んだのか?
インターネットTVサービスの「ABEMA」は、親会社であるサイバーエージェントの事業の1つです。
※テレビ朝日と合同出資で設立
世界的にも稀有なビジネスモデルの無料インターネットTVサービスですが、広告収入、月額課金、オリジナルグッズ販売などの複合的な収益で運営しています。
これまでは年間200億円規模の赤字を出して先行投資を続け、サービス拡大を最優先に進めてきたそうですが、今後は投資継続と同時に、収益モデルも強化する方針とのこと。
その理由として、設立当初から目標としてきた1週間あたりの利用者数が1000万人を超えてきたことが挙げられます。
ABEMAの『格闘』のカテゴリーで放送されたNOAHのTVマッチですが、無料ビデオ・有料ビデオ共にカテゴリーのトップに君臨しています。
先日のTVマッチの視聴者数10万越えは、ABEMA格闘担当のゼネラルプロデューサーも『凄いことになっている』と言う程の数字を叩き出しました。
本日もたくさんのご視聴ありがとうございました!約10万3千視聴数に、1万4千コメント!
皆さんのコメントを見るとTVマッチをやって良かったと思えるのです。こちらこそ本当にいつもありがとうございます。
ノアは止まらず、生きたプロレスを届け続けます。皆様も一緒に前へ進みましょう。#noah_ghc pic.twitter.com/luB4RZSbF1
— プロレスリング・ノア (@noah_ghc) May 10, 2020
つまり、NOAHの中継はカテゴリー『格闘』の中核を担う存在として期待しているのではないでしょうか。
少なくもABEMAにとってNOAHの存在は、必要不可欠なものになろうとしています。
一方、NOAHにとってABEMAで無料放送を続けることは、どんな意味があるのか?
ABEMAアプリのダウンロード数は、2020年3月4日段階で5000万ダウンロードを越えました。
そして、ユーザーの半数以上が18-34歳で構成されいるそうです。
ABEMAは若年ユーザーへのリーチに強いという強みを持っています。
今回約10万3千人の視聴数を達成したノアTVマッチですが、恐らくDDT UNIVERSEの会員だけでは達成できない数字でしょう。
今、NOAHに必要なことは、NOAHの試合を多くの方に見てもらう事、そしてファンを増やす事だと思います。
つまり、NOAHにとってABEMAで試合を配信することは、ファン拡大に最も適したツールだと言えるのではないでしょうか。
今後もABEMAとDDT UNIVERSEの両軸での配信は続くでしょう。
NOAHファンであるDDT UNIVERSE加入者がABEMAで試合を視聴し、元々のABEMA利用者がNOAHの試合を見てファンになるWIN-WINのサイクル。
1年後のNOAHの立ち位置がどこなのか…
NOAHの大躍進が始まろうとしています。