NJC決勝進出の2人より印象深かったデビッド・フィンレーの健闘

デビッド・フィンレー【撮影:koba】
NEW JAPAN CUP




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2人による最強戦士決定トーナメントも、あと1試合で終わり。

ここまで4試合を勝ち抜いた鷹木信悟とウィル・オスプレイが、本日NEW JAPAN CUP(以下NJC)優勝を懸けて闘います。

試合内容、実績も申し分の無い2人。

2019年のベスト・オブ・ザ・スーパージュニア決勝戦で死闘を繰り広げた2人なだけに、今回の優勝決定戦も間違いなくベストバウトになるでしょう。

これまでの対戦成績は1勝1敗のイーブン。

あと1回勝てば4月4日のサクラジェネシス両国国技館大会で、IWGP世界ヘビー級王者の飯伏幸太と闘えます。

 

ここまで勝ち抜いた2人を称えたいのは勿論ですが、今最も称えたい選手は別にいます。

準決勝進出を予想できなかったあの選手です。

 

影の実力者であるデビッド・フィンレー

 

今NJCのデビッド・フィンレーの活躍に、一体何が起こっているんだろうと思ったファンは多かったと思います。

ジェイ・ホワイト戦の勝利も大金星と称したメディアもいました。

しかし、3年前のフィンレーの試合に魅了されたファンにとっては、期待通りの活躍だったのではないでしょうか

 

3年前にジェイと闘ったIWGP USヘビー級選手権。

この試合はフィンレーが実力の片鱗を垣間見みせたタイトルマッチでした。

変形のバックブリーカーを初めて見せ、トラッシュパンダや掟破りのブレードランナーを繰り出したフィンレー。

敗れはしたものの、近い将来ジェイの最大のライバルになるだろうと確信した試合でした。

 

運に見放された2年間

 

2018年の4月に実力の片鱗を見せ、翌年のNJCにエントリーされていたフィンレー。

しかし、同年2月の試合中に肩を脱臼したことにより、出場が決まっていたNJCは欠場。

結果、長期欠場を強いられます。

 

転んでもタダで起きなかったフィンレーは、欠場中に肉体改造に着手。

トレードマークだったぽっちゃりお腹も無くなりました。

復帰後のWORLD TAG LEAGUEでは、最終戦でロスインゴチームを破り優勝。

2020年1月の東京ドーム大会でのIWGPタッグ選手権挑戦の権利を得ます。

ドームでタッグ王座を獲得すると、今度こそNJC初エントリーとなる予定でしたが、これも世界的パンデミックの影響で延期。

結果、2020年もNJCに出場できずシングルプレイヤーとしての実力をファンに披露することはできませんでした。

本来なら昨年のNJCで活躍し、G1クライマックス初出場を果たしていたかもしれないフィンレー。

つまり、日本に来日できない間に急成長したのではなく、1年前からシングルでも結果を残せる準備ができていたということです

 

2回のアクシデントに襲われ敗北

 

準々決勝でジェイ・ホワイトに勝利し、優勝決定戦進出を懸けオスプレイと対戦したフィンレー。

またしてもアクシデントがフィンレーを襲いました。

 

第4試合中にゼビオアリーナ仙台を襲った震度5強の地震。

試合も約25分間中断され、会場のファンも新日本のスタッフも動揺していたことでしょう。

当然、リングの上で闘う選手も不安は尽きなかったはずです。

特に外国人レスラーにとって強い揺れは未知の自然災害であり、試合もいつもより集中力を欠いていたかもしれません。

 

そして、試合中2回目のアクシデントがフィンレーを襲いました。

アシッドドロップを敢行した際、コーナーを駆け上がった勢いのまま場外に突き落とされます。

この時、左足首を負傷したフィンレーに三澤トレーナーがチェックに近寄りますが、非情にも場外カウントが数えられました。

試合続行が可能かどうかも判断できない状態で闘い続けたフィンレー。

 

片足が使えない状態でも決して諦めず闘い続けた勇姿に、多くのファンが胸を痛めたことでしょう。

奇跡を信じ見守りましたが、残念ながらオスプレイを片足で倒すことはできませんでした。

もし、足首を痛めるアクシデントがなかったらと思うと、悔やまれる敗戦となりました。

 

試合後にG1エントリーを熱望

 

再び欠場が心配されるフィンレーですが、昨日のバックステージでG1クライマックス出場を熱望しました。

 

今年のG1開催が昨年同様の9月開催なら、仮にこれから欠場しても間に合うかもしれません。

なによりNJCでベスト4に進出した選手の試合をもっと見たいと思うのは、ファン心理として当然でしょう。

ジェイのリベンジも、オスプレイとの再戦も、楽しみが増えました。

 

またしてもアクシデントに見舞われ、悲劇のヒーローとなってしまったフィンレー。

それでもこれまでと違う点があります。

それは、確実にシングルプレイヤーとしての実力をファンの脳裏に焼き付けたこと

今大会最も印象に残った活躍を見せれたと確信しています。

 

フィンレーが宣言した通り『今年は俺の年になる』でしょう。

いや、新日本プロレスのトッププレイヤーの仲間入りを果たすのも、そう遠くないと信じています。