新日本プロレスに知って欲しいファンのリスクと苦悩

Koba
飯伏幸太【撮影：koba】
雑感




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大会当日にメインイベントの挑戦者を変更せざる得ない状況の中、アクシデントをひっくり返し大成功で興行を終えた真夏の東京ドーム大会。

翌日の会見では９月のビッグマッチの主要カードが決まり、約１ヶ月後にはＧ１クライマックスも控えています。

コロナ禍にも負けず魅力的な大会を開催し続ける新日本プロレスには、感謝しかありません。

 

一方で、１つだけ知って欲しい事実があります。

それは飯伏幸太のIWGP世界ヘビー級王座挑戦を見守る為だけに、東京ドームのチケットを購入したファンもいるということ。

飯伏の晴れ舞台を応援するだけに、遠方から足を運んだファンもいるはずです。

 

決断が遅かったと言わざる得ない状況

 

本人の出場したいという想いを尊重し、大会当日まで決断を待った新日本。

その判断を責める気もなければ、飯伏本人を責めるつもりもありません。

新日本プロレスのホームページにも書いてある通り、『参加選手が負傷その他の理由により、一部変更することがあります』と参加選手変更の可能性は常々アナウンスしています。

いつ何時でも新日本側には参加選手を変更する権利があるということです。

 

しかし、これだけは知って欲しいことがあります。

推しの選手が大舞台で重要な試合に出場することが決まってから、チケットを購入し東京ドーム大会観戦を決めたファンもいるでしょう。

都内近郊に住むファンもいれば、北海道や九州に在住の方もいます。

もし、推しの選手が出ないのなら無理してチケットを購入することもなかったでしょう。

中にはチケット代より高い交通費や宿泊代を捻出し、遠方から足を運ぶファンもいるということです。

 

今回は大会直前に該当選手が体調を崩した訳ではありません。

２度に渡り体調不良で大会欠場がアナウンスされています。

飯伏が出場するからチケットを購入したファンも、数日前から欠場の可能性を感じていたことでしょう。

むしろ無理して出場して欲しくないというファンの声は多くありました。

しかし、出場の可否は当日まで伸ばされます。

推しの選手が出場するからチケットを購入したファンは、果たして東京ドーム大会に足を運んだのか…

 

例えば飛行機代と宿泊代のパック料金のキャンセルは、２日前までなら旅行代金の３０％キャンセル料がかかります。

前日なら４０％のキャンセル料、当日なら５０％のキャンセル料です。

数日前に東京ドーム大会のメインの対戦相手変更を決断できたら、コロナ禍の状況で遠方から東京に足を運ぶこともなかったでしょう。

 

団体側のリスクがあれば、ファンもリスクを伴う

 

近年、“モノ消費”から“コト消費”の需要が高まり、プロレス観戦は正しくコト消費に当てはまる、心を満たしてくれる体験型コンテンツです。

さらに最近では“コト消費”よりさらに限定的・非再現性な、“トキ消費”という言葉が生まれています。

プロレス観戦という非現実な空間で、誰もが辿り着ける場所ではないというIWGP挑戦は、トキ消費に当てはまるでしょう。

それが自分の推す選手であれば、滅多に来ないだろうチャンスに資産を投じます。

プロレスラーがファンを大事にするのは、その労力を知っているからでしょう。

 

満身創痍の状態でIWGP世界ヘビー級王者に輝き、たった１ヶ月で王者陥落してしまった飯伏。

東京ドームで再びIWGPに挑戦できるという滅多に訪れないチャンスでした。

選手はプロである以上、如何なる状況でも試合に出るつもりでいたことでしょう。

しかし、それを止めるという判断を下せるのは団体側しかできません。

 

ファンに「鷹木信悟 vs 飯伏幸太」を届けるためギリギリまで粘ってくれたんだと思いますが、今回ばかりは早い決断を望む声が多かったのではないでしょうか。

コロナ禍の状況で選手・スタッフの遠征もリスクを伴いますが、ファンも遠征にはリスクが伴います。

東京ドーム大会という全国津々浦々からファンが集まるビッグマッチだからこそ、英断が必要だったのかもしれません。



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