東京についてライフスタイルコンテンツを英語で発信しているメディア「Tokyo Weekender」(以下TW)が、新日本プロレス所属の英国レスラーであるザック・セイバーJr.へインタビューを行っていました。
ザックと言えば、コロナ禍でも日本に居続け、直近では2度目のNEW JAPAN CUP制覇を成し遂げた、新日本プロレスになくてはならないレスラーです。
2022年の旗揚げ記念日大会では、棚橋弘至、オカダカズチカ、鈴木みのると一緒にメインイベントも努めました。
新日本を代表する外国人レスラーから、新日本を代表するレスラーになったと言えるでしょう。
そんなザックのインタビューですが、プロレスラーを目指した理由、日本を選んだ理由など、非常に興味深い内容を掲載しています。
NJPW GlobalもSNSで紹介していたので、公式なインタビューと捉えて良いのでしょう。
一部抜粋して翻訳したので、是非ご覧下さい。
“In American wrestling, it’s about individuals chasing their own goals. In Japan, everybody works as hard as they possibly can for the benefit of each other, and for the company as whole.”https://t.co/37Cc57bkhi
— Tokyo Weekender (@Tokyo_Weekender) May 5, 2022
TW『英国シェピー島出身の若者で、日本でプロレスをすることを夢見る者は少なく、その夢を実現させる者はさらに少ない。ザック・セイバーJr.はその例外で、9年間、日本の雪深い北国から沖縄の南国まで、敵をキャンバスに叩きつけてきた後、NJPW(新日本プロレス)の看板選手として、堂々とした立ち振る舞いを見せている。
ザックは日本で唯一のヴィーガンプロレスラーとしても有名で、中目黒の静かなヴィーガンカフェ「レインボーバードランデヴー」でお会いしたのも納得です。野菜を食べながら、日本でのプロレス活動の苦労話や、菜食主義者(ビーガン)であること、そしてその2つをどのように両立させているのかなどを話してくれました。
プロレスラーを目指すキッカケは?
TW『ザックさん、プロレスに目覚めたきっかけを教えてください』
ザック『私は生涯を通じてのファンであり、一部のプロレスラーのように、具体的に実感した瞬間というのは記憶にありません。14歳のときに「パワースラム」誌で「ハンマーロック・レスリング・スクール」の広告を見つけました。プロレスへの入り口としてそんな合理的なことがあるのかと思うかもしれませんが、2002年1月の第1週から通うようになって、それ以来ずっと私の人生のすべてになっています』
なぜ日本でプロレスをしているのか?
TW『なぜ日本なのか?日本という国に興味があったのでしょうか?それとも、日本のプロレスに惹かれたのでしょうか?』
ザック『日本に来ることは、レスリングをする上で最大の焦点だったからです。私が子供の頃、アメリカのプロレス団体、WWFやWCWで日本人レスラーが少し活躍していました。Tajiriや獣神サンダーライガーは、イギリスの無料放送のテレビで土曜日の午後に見ていたことを覚えています。
練習にはみんなVHSテープを持って来ていて、僕はNJPWの歴史上最も有名な大会のひとつである「スーパーJカップ’94」を見せてもらいました。日本でのプロレスの見せ方を見て、私はプロレスラーになりたいと思っただけでなく、ここでプロレスをしたいと思いました。私はアニメや日本のポップカルチャーの熱狂的なファンではなかったので、日本のプロレスが私にとってそれに相当するものでした』
日本と世界のプロレスの違い
TW『日本のプロレスはどんな感じですか?』
ザック『日本のプロレスは世界的な影響力を持っているので、最近はリング上の差が少なく見えるかもしれません。ただ、そうは言っても、日本のプロレスは世界と比べるとフィジカルに突出し、格闘技の影響も受けている。私自身は、どこにいてもほとんど同じスタイルでやっています。
しかし、日本の企業が持っているアプローチと、メディアからのリスペクトが一番大きな違いだと思います。試合の翌日、ローソンに行って東京スポーツ紙をチェックすれば、自分が出たショーの結果を見ることができます。これは英国のタブロイド紙ではありえないことです。日本ではプロレスがエンターテインメントとして捉えられているだけではなく、スポーツと一緒に括られているのも、あるべき姿だと思っています』
『日本ではみんながお互いの利益のために協力的に働く』
ザック『日本のプロレスと日本の文化を切り離すのは難しいと思っています。道場制をとっていることもあり、私が学んできたプロレスより断然プロフェッショナルです。練習では、いいことをしたら1000回、悪いことをしたら1万回やらなければならない。日本では細部にまでこだわるのです。そして、チームスピリットがあります。アメリカのレスリングは、個人が自分の目標を追い求めるものです。一方日本では、みんながお互いのために、そして会社全体のために一生懸命に働きます』
ヴィーガンについて
TW『ヴィーガンはいつから始めたんですか?』
ザック『日本に来てからなので、自分を罰したかったんです。正式にヴィーガンになったのは2015年ですが、肉や動物性食品を食べることにいつも矛盾を感じていました。(ヴィーガン大国の)イギリスで育ったものの、文化に大きな壁があったため、それを片隅に追いやっていました。
新日本は全国各地を回っていますが、どの地域にも食べてほしい名物料理があるんです。ある日、Netflixのドキュメンタリー番組「Forks Over Knives」を見たのがきっかけでした。ヴィーガンを食べて健康になり、動物の扱いに良い影響を与えることができると教えてくれたのです』
TW『普段は何を食べていますか?』
ザック『料理は得意ではありませんが、良いミキサーを買ったので、朝はバナナ、ほうれん草、ベリー類、ビーガンプロテインを入れた大量のスムージーを飲むのが習慣です。冷凍バナナは、ヴィーガンになろうとする人にとって重要だと思います。また、オーツ麦やそば、サツマイモなどのでんぷん質の食品、そして豆腐やテンペなどのタンパク質も食べています。日本は野菜が季節ごとに変わるので、1年間で何を食べるか計画できるのがいいですね』
TW『日本でヴィーガンであることの難しさはありますか?』
ザック『キッチンのない移動時間が長いので、できる限りのことをしています。出汁や鰹節を使うことはもちろんですが、食品表示も大きな課題のひとつです。セブンイレブンの梅おにぎりのように簡単なものでも、だしが入っていたり入っていなかったり、表示も曖昧で、地域によって生産方法も異なります』
TW『ヴィーガンであることは、プロレス界ではどのような反響がありましたか?』
ザック『金丸選手など、ヴィーガンプロテインを導入しているレスラーもいますし、お弁当が出てきたら大豆のお肉とかも食べてみてくださいと勧めています。
もちろん、肉やタンパク質が不足しているのではと心配されることもあります。私の場合は、ほとんど全食品を食べているので、エネルギーレベルは素晴らしいと感じています。(野菜炒めの皿を指差して)これは私にとってご褒美です』
日本移住権を取得
TW『では、ザック・セイバーJr.の次の目標は何でしょうか?』
ザック『これからの人生もプロレスをし続けたいです!また今年の初めに日本での移住権を取得した。今後は時差ぼけやホテルの部屋での睡眠よりも、日本をもっと探索し、休みの日にはハイキングなどアクティブな活動をしたいですね』
一人でも多くの人に動物愛護について語り、考えてもらいたいと思っています
『もっと広い意味で、できるだけ多くの人に動物福祉について話し、考えてもらいたいと思っています。毎日1億2000万頭の動物が食用として屠殺されているのですから、「肉なし月曜日」のような取り組みは、非常に大きなプラスの影響をもたらします。動物愛護に与える影響は、私たちの生活の中で完全にコントロールできる数少ない事柄のひとつだと思うのです』
※インタビュー記事本文を見たい方はこちらをご覧ください。
日本のプロレスに感銘を受け、プロレスラーになるキッカケとなっただけではなく、日本でプロレスをする夢が叶い、新日本のトップレスラーとなったザック。
これからもずっとファンのために、日本で闘い続けてくれるということでしょう。
日本と日本のファンを愛してくれるザックを、今後も応援し続けたいと思います。
※日本への永住権を取得したと翻訳していましたが『長期的な生活拠点にする』という翻訳の指摘もあり移住権に修正しています。