武藤敬司との試合後に見せた内藤哲也の小さな抵抗

武藤敬司、内藤哲也【撮影:koba】
プロレスリング・ノア




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月21日はプロレスファンにとって特別な1日となりました。

武藤敬司に憧れプロレスラーになった内藤哲也が、11年振りとなるシングルマッチでその武藤の引退試合の相手を務めるという運命。

壮大過ぎる物語に多くのファンが涙したことでしょう。

この物語は39年間のレスラー人生最後の1ページであり、その最終話を見届けられたことは、今現在プロレスファンである私達の特権です。

 

11年前の東京ドーム大会で、武藤敬司と闘い敗北し、悔しい思いをしたと語った内藤哲也。

あの日、武藤が差し出した手を跳ね除け、握手を拒否したのは有名な話しです。

当時、内藤は握手を拒んだ理由を下記のように語っています。

―最後に武藤選手に握手を求められて拒否したのも内藤選手なりの何かが。

内藤 『なんの握手かわかんないよ。 握手した途端にドラゴンスクリューきたかもしれないし。 あそこで握手するようなレスラーに俺はなりたくないから。 負けちゃったけど、最後まで俺の意志は貫いたかなと

引用:新日本プロレス

 

11年前のこのやり取りを知っているファンにとって、武藤と内藤が引退試合の後に握手するかどうかは、戦前から気になっていたことでしょう。

内藤から手を出すのか、それとも再び武藤が握手を求めるのか、はたまた再び拒むのか…

そして私達は11年前見ることができなかった光景を目の当たりにすることができました。

 

内藤哲也が見せた小さな抵抗

 

結論から言うと、武藤と内藤は11年振りに握手をしました。

残念ながら、新日本プロレス公式ホームページのMATCH REPORTには、試合後2人が握手した写真は映っていません。

具体的にどんな風に握手するに至ったのか。

何度も試合映像を見返した結果、武藤と内藤はご覧の行動をとっていました。

▪︎武藤に決めた4の字固めを自ら外した内藤は、後ろからと前からシャイニングウィザードを連発

▪︎すかさずカバーに行くもカウント2で返されると、最後はでデスティーノで3カウントを奪う

▪︎立ち上がる時に武藤に何かを語りかけた内藤

▪︎勝ち名乗りを受け、寝そべる武藤の横に立った内藤

▪︎武藤に顔を向け近づいた後、拳で自分の胸を叩き、いつもの様に拳を天に掲げる

▪︎それを見た武藤は立ち上がり内藤の拳にプロレスLOVEポーズを合わせる

▪︎お互い手を下ろした直後、武藤が何かを呟き突如握手を求める

▪︎内藤がその手に反応する前に、武藤は内藤の手首を取る

▪︎一瞬の出来事に握った拳を開く内藤

▪︎そして握手

▪︎武藤が手を離す瞬間、手を払いのけるような僅かに抵抗を見せる

▪︎武藤は背を向けコーナーに向かい歩く

▪︎その直後、内藤は涙を堪える

 

内藤に考える間を与えない一瞬の出来事でした。

恐らく、内藤は武藤が握手を求めた場合、どう行動しようか想定していたのでしょう。

しかく、至近距離で反応する前に手首を掴まれ、思考が停止した内藤。

もしかしたら、握手直前の呟きが内藤の胸に突き刺さって動けなかったのかもしれません。

結果、この日一番涙を我慢することになった内藤がいました。

 

PPVを購入した方は、是非このシーンを見返してみてください。

握手後、武藤が手を離す瞬間、内藤が手を払いのける様に見えたかどうか。

私には今の制御不能な内藤哲也を貫くため、離したくない武藤の手を自ら払い除けたように見えました

 

武藤敬司に憧れ、武藤敬司になりたくてプロレスラーを目指した内藤。

1分1秒を大切にしながら引退試合を楽しんだとのことですが、いつかこの試合の感想を聞きたいものです。

11年前、『なんの握手かわかんないよ』と答えた内藤にとって、今回はどんな握手だったのか…

 

そして、数多くいるプロレスラーの中で引退試合の相手を務めた唯一無二の男が、今後プロレス界にどんな景色を見せるか。

制御不能なカリスマの今まで以上の活躍に、期待は膨らむばかりです。