社長業兼務のプロレスラー棚橋弘至の現役引退宣言について思うこと

棚橋弘至【撮影:Koba】
国内プロレスニュース




Pocket

表取締役社長兼プロレスラーである棚橋弘至が、10.14両国国技館大会で2026年1月4日に引退することを表明しました。

どん底まで落ちた新日本プロレスを立て直したエースの引退表明に、国内メディアもニュースに取り上げるほど衝撃の発表だったと言えます。

 

大々的に引退を表明と報道された棚橋ですが、正確には『棚橋のゴール』という表現を用いていたことを備忘録として残しておきたいと思います。

棚橋『棚橋のゴールを決めました!(場内どよめき)。2026年1月4日、だからあと1年2カ月あります!(場内拍手)。

はい、疲れないし、落ち込まないし、あきらめないけれど・・・•・・、あと1年2カ月、全力で走りますんで、新日本プロレスをよろしくお願いいたします!』

引用:新日本プロレス

 

棚橋弘至の引退発言に感じた違和感

 

実は棚橋の引退(ゴール)宣言を聞いた時、少し違和感を感じました。

①なぜ、最後となる日が2026年1月4日なのか。

②なぜ、1年2ヶ月も先の話しをこのタイミングでしたのか。

③なぜ、まだまだ現役を続けられるコンディションなのに、1年2ヶ月後をゴールと見据えたのか。

3つ目の答えは東京スポーツの取材で明らかにしています。

――『IWGP世界ヘビー級王座(現王者はザック・セイバーJr.)や、G1クライマックスといった最前線との距離感は』

棚橋『いやいや、僕は衰えながら辞めていくのではなくて。(もともとは)IWGPに届かないと思ったら辞めるのが理想だったのでだから理想としては引退試合はIWGP世界ヘビー級選手権がいいなって。挑戦して、勝ったら(現役)延長ですよ、引退撤回。負けたらそのまま引退。そうしたら自分、納得いくもん。もうかなわないと思ったから辞めれるじゃん』

引用:東京スポーツ

 

これは以前から発言していたことですが、棚橋にとって今のコンディションがIWGPに挑戦できるギリギリのボーダーラインということなのでしょう。

しかも、引退試合はIWGP世界ヘビー級選手権が理想と語りました。

 

あと残り2つの違和感は、恐らく社長職の任期に関係しているんだと思います

棚橋が新日本の代表取締役社長に就任したのは、2023年の12月23日。

新日本の社長職の任期は2年単位なので、更新できるかどうかは2025年12月には明らかになるでしょう。

つまり、引退試合となるだろう2026年の1月4日の時点で、社長としての任期を終えているか、2期目に突入しているか分かった状態で迎えることになります。

 

来年1月の東京ドーム大会は2DAYSになるので24年度(ブジロードの決算は6月)の売上は前年を上回る可能性は高いでしょう。

では25年度は前年度より売上を上げる公算はあるのか?

東京ドーム大会2DAYSの24年度を上回る施策を25年度で計画できなければ、代表取締役の2年の任期を更新することは難しいのではないでしょうか。

 

ここからは私の憶測です。

棚橋が持つ唯一無二の切り札は、自分の身を削ること

つまり、自分の残りのレスラー人生を懸け、新日本の人気を回復させようということではないでしょうか

しかも東京ドーム大会2DAYSの実績のカバーを、翌年自らの引退試合で穴埋めするという荒技です。

自分の引退ロードを作ることによりV字回復を狙い、かつての人気を取り戻し、未来ある選手達に心置きなく闘える環境を整える。

引退後も選手達をバックアップできるよう、社長職の任期を更新するため自らのキャリアを賭ける。

棚橋にとっての引退宣言は、一世一代の大博打かもしれません。