視殺戦となった30分、潮崎豪は動かなかったのか?それとも動けなかったのか?

プロレスリング・ノア




Pocket

の日曜日にプロレスリング・ノア(以下NOAH)で行われた、GHC4大タイトルマッチ。

新型コロナウイルス感染拡大を危惧して無観客で行われた後楽園ホール大会は、DDT UNIVERSEで配信されたことにより多くのプロレスファンが視聴できる環境でした。

まだ見ていない方は、下記記事で無料で見る方法を記載しています。

興味のある方はご覧ください。

 

衝撃の結果に終わったGHCヘビー級選手権は、ファンの中でも賛否両論意見が分かれたことでしょう。

それもそのはず、試合開始30分間は両者向き合ったまま触れることすらありませんでした

 

私も含めライブ視聴していたファンは、いつ動き出すのかずっと見守っていたんだと思います。

両者動かず5分経過した時点で、誰も30分間も膠着状態が続くとは思っていなかったことでしょう。

31分過ぎに藤田和之から仕掛け試合が動き始めましたが、この30分間をどう捉えたかは100人いれば100通りの考察があるのではないでしょうか。

 

私が注目した点は…

潮崎豪は動かなかったのか?それとも動けなかったの?という事

 

膠着状態に陥った潮崎豪は、チャンピオンとして先に動くつもりはなかったのか?

それとも、“外敵”藤田の圧力の前に動くことができなかったのか?

私は両方の可能性があると思っています。

 

昨年の9・16大阪大会で、NOAHに初参戦した藤田和之。

NOAHで初めての試合となった若手の稲村愛輝相手に、4分かからずギブアップ勝ち。

対戦相手をスリーパーで何度も絞め落とし、ダウンしている相手の側頭部をサッカーボールの如く蹴り飛ばす様は、外敵以外の何者でもないでしょう。

 

潮崎も前哨戦で何度か手を合わせ、藤田の圧力を肌で感じたんだと思います。

そして、それは藤田も同じ。

潮崎が胸板に繰り出す逆水平チャップは、今までの逆水平とは別次元の衝撃だったと思います。

初めのうちは顔を背け、嫌がる素振りを何度もしていました。

そう、初めのうちは…

 

何試合か前哨戦をする内に、藤田も潮崎の逆水平に慣れてきているように見えました。

逆に潮崎をスリーパーで絞め落とした試合もあります。

NOAHの試合に慣れ、潮崎に慣れた藤田は獲物を狙う野獣そのものでした。

 

話を後楽園ホールの試合に戻します。

無観客で行われたGHCヘビー級選手権で、意外な光景がありました。

過去3度、観戦で目撃した藤田和之とは明らかに異質な光景。

襲いかかる直前の野獣の如く圧をかけてきた藤田が、試合開始から静かな眼差しを潮崎に向け続けました。

 

NOAHで初めのタイトルマッチという緊張感や焦りもなく、静かに潮崎を見つめる藤田。

藤田の敵意はどこに消えたのか?

静かに見つめる眼差しは、いつもの野獣なのか?

威風堂々と構えていた潮崎も、もしかしたら迷いが生じていたかも知れません

自分から仕掛けるべきか、チャンピオンとして挑戦者が動くのを待つべきなのか…

 

結果、31分後に仕掛けられたタックルをかわす事ができなかった潮崎は、藤田の術中にはまってしまいました。

 

殆どが藤田ペースで試合が進み、好きなようにやられた潮崎。

それでも藤田の攻撃を全て受け切った上で60分以内で勝ち切った潮崎は、NOAHを守った最強のチャンピオンなんだと思います。

賛否両論あった試合も、結果的にNOAHもタイトルマッチを闘った2人も、価値を上げた試合だったのではないでしょうか

 

 

、ひとつだけ疑問に思っていたことがありました。

それは、藤田の外敵感が誰かに似ているような気がしていたということです

プロレスにおいて「外敵」という言葉に定義があるかどうか分かりませんが、少なくとも単純にヒールレスラーということではないと思っています

 

私にとっての外敵とは、プロレス団体とプロレスラーを壊す存在であり、その名の如く“敵”です。

倒さなければいけない相手であり、負ければ全てを失ってしまう可能性のある相手。

 

あの試合を見ている途中、やっと思い出しました!

あの外敵感は、かつて新日本プロレスのリングに上がり橋本真也を蹂躙した小川直也なんだと。

それ程までの恐怖感があったからこそ、30分間も緊張が続き、見ることを辞めなかったんだと思います。

令和に生まれた野獣の今後が気になるばかりです。