110日振りに新日本プロレスが大会を開催することに対し、『プロレスが帰ってきた』と表現したファンの発言に一部のプロレスファンが敏感に反応しています。
「新日本の再開=プロレスの再開」と言うファンにとって、新日本プロレスが一番好きな団体であり、それ以外のプロレスは見ていない方も多いことでしょう。
新日本の公式Twitterアカウントのフォロワー数は40万以上を誇る、日本最大のプロレス団体です。
一週間限定で公開しています。
「心のスタミナ」という言葉、とても響きました!棚橋選手、ありがとうございました。新日本プロレスが帰ってきた!棚橋弘至×松岡修造 https://t.co/fwzOKFvKcR
— 報道ステーション スポーツ (@hst_sports) June 16, 2020
これに対し『気にいらない』という意見もあるそうです。
確かに、日本には新日本プロレスだけが存在するわけではなく、大小合わせれば100団体近くあると言われています。
既に無観客試合を始めているプロレス団体のファンにとって、『気にいらない』という気持ちが湧くことは自然なことでしょう。
新日本プロレスだけがプロレス団体ではないのは当然なことですし、そういう表現をして欲しくないと思うことは間違いではありません。
恐らく、この論争に拍車をかけたのはプロレス雑誌の表紙なんだと思います。
※画像には楽天ブックスのリンク貼っています
これは6月17日の水曜日に発売された週刊プロレスですが、月曜に試合があった新日本プロレスの写真を表紙に起用しています。
新日本が110日振りに行った初めての無観客試合だっただけに、プロレス界においてもビッグニュースでしょう。
この瞬間を待ちわびていたファンは、大勢いたんだと思います。
この新日本の無観客試合があった前日、プロレスリング・ノア(以下NOAH)ではコロナ禍以降最大のビッグマッチとも言えるTVマッチが行われました。
NOAHにとって故三沢光晴の命日である6月という特別な月に、三沢さんの最後の試合のリングに居合わせた潮崎豪と齋藤彰俊とのGHCヘビー級選手権が行われたという、まさに特別な大会だったんだと思います。
当然、NOAHファンにとってはこの特別な一戦が表紙になるものと思っていたことでしょう。
それが、新日本プロレスのノンタイトルの試合が表紙を飾ったのですから、「裏切られた」と思ってしまうことは仕方のない事なのかもしれません。
Twitterのタイムラインでたまに見る光景があります。
それは、「週プロが罪を犯した」というツイート。
これは応援している団体の特別な一戦が表紙を飾れなかったことに対する憤りであり、週刊プロレスのチョイスが間違いだったと指摘したいのでしょう。
かつて、プロレスの週刊誌は2つありました。
今なお発行を続ける『週刊プロレス』と休刊してしまった『週刊ゴング』です。
2007年に休刊しているので、週刊ゴングを知らないプロレスファンもいることでしょう。
プロレス雑誌も売れなくなれば存続は難しくなり、そこで働く編集者も職を失います。
国内で唯一存続する週刊プロレスは今後も存続し続けて欲しいですし、その為には安定した売り上げを確保する必要があります。
それぞれの団体には専属の担当編集記者がおり、大きな大会、大事な試合があれば自分が担当する団体の写真を表紙に飾って欲しいと願うはずでしょう。(団体によっては兼任もあると思います)
しかし、表紙を決めるのは編集長の役割であり、売り上げを維持する責任があり、同時に担当記者を守る責任もあります。
新日本のレスラーを表紙に飾ることが売り上げに直結するなら、新日本の優先順位が高いことも仕方ありません。
それが週刊プロレス(ベースボールマガジン社)で働く編集者を守ることに直結するなら、仕方のないことでしょう。
今週号で新日本プロレスが表紙を飾った週刊プロレスですが、拳王の人気連載コーナーで「新日本興行再開」について語っています。
その連載ではコロナ禍の状況で大会を行わず(行えず)自粛してきた団体、プロレスを提供し続けた団体に対し、どちらも正しくどちらにも批判があると述べました。
今回の連載を読めば新日本の再始動に対する「プロレスが帰ってきた」発言も、新日本が表紙を飾った件に関しても、納得できるファンもいるでしょう。
拳王の発言は多くのプロレスファンを救う言葉だったのではないかと思います。
ABEMAスタッフが週刊プロレスをみんなで読みふけり、最も熟読していると言っても過言でないのが拳王選手のコーナー。これからも日常を取り戻して行く中で、彼のプロレスと言葉を伝え続けます。#noah_ghc @noah_ghc @kenoh_prowres
6.14視聴URL▷https://t.co/zal5F83uPH pic.twitter.com/xgxRK58L9H— ABEMA格闘TIMES (@Abema_Fight) June 6, 2020
結論から言って、『プロレスが帰ってきた』発言も、その発言に違和感や憤りを感じることも、どちらも間違いではないんだと思います。
そして、週刊プロレスの表紙がどの団体が飾るのかより、その中身やプロレス専門メディアが存続してくれる方が大事なことでしょう。
思い通りにならないことは、自分が好きな団体をもっと応援する活力に変えればいいんだと思います。
プロレスが当たり前に行われる世界があるだけで、十分幸せなんです。