ザックとオスプレイが準々決勝進出の切符以外に懸けた “モノ”

ウィル・オスプレイ、ザック・セイバーJr.【撮影:koba】
NEW JAPAN CUP




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な死闘となったNEW JAPAN CUP(以下NJC)二回戦の英国人対決。

昨年2月2日北海道大会以来となったザック・セイバーJr.とウィル・オスプレイの一戦は、2021年のベストバウトとも言える試合になりました。

 

過去何度も闘ってきたというライバル関係の2人ですが、今までの試合とはまた違う一面を垣間見た試合だったのではないでしょうか。

試合開始早々からフルスロットルでの攻防、激しい打撃戦、スピード感溢れる展開、感情剥き出しのぶつかり合いは、3・14尼崎大会のメインイベントに相応しい闘いでした。

 

感謝しかない2人の英国紳士

 

昨年に引き続きNJC出場となったザックですが、外国人レスラーでは唯一の2年連続のエントリーとなりました。(ヤングライオンのゲイブリエル・キッドは除いて)

外国人レスラーとし2年連続出場できた理由は、コロナ禍で全世界が大変な状況にも関わらず母国に帰らなかったから。

こんな状況にも関わらず新日本プロレスとファンの為に闘い続けたザックに、多くのファンが感謝していました。

 

昨年の3月に母国のイギリスに戻ったオスプレイもまた、感謝の想いは尽きません。

新日本に参戦するようになって5年、様々な活躍と結果を残してきた男は2019年6月に日本に引っ越すことを公言しました。

これは引き続き日本で闘い続けることの誓いであり、新日本でトップを目指す覚悟の決断でもあったんだと思います。

 

イギリスとは全く違う文化の国で闘い続けてくれる2人に、昨夜のメインイベントは任されました。

恐らくトーナメント表が発表された日から、尼崎でライバルと闘うことを意識していたでしょう。

そして、もう一人の“レスラー”を相手にしなければならないことも想像していたんだと思います

 

NJC準々決勝進出の切符以外に懸けた “モノ”

 

実はこの日、プロレスリング・ノア(以下NOAH)のビッグマッチの配信もNJCと被っていたため、私は2つのデバイスを使い同時に試合を見ていました。

結果的にメインイベントの時間も殆ど一緒。

新日本はNJC二回戦の公式戦に対し、NOAHのメインはメジャー三冠を達成した武藤敬司のGHCヘビー級の初防衛戦

2つの団体のメインが始まった瞬間、もしかしたら2人の英国人はリビングレジェンドである武藤のタイトルマッチも意識していたのではないかと気付きました

ザックは元NOAHのリングで闘っていたレスラーであり、オスプレイも丸藤正道をリスペクトするレスラーであり、当然この日の試合を知っていたことでしょう。

 

2月15日に行われたCyberFightの記者会見で、3月14日の福岡大会でのGHC初防衛戦が発表されました。

新日本がNJCの出場選手とトーナメント表を発表したのが3月1日。

つめり、武藤の防衛戦の日程が決まった後にNJCのスケジュールは組まれたということ。

順調に勝ち上がれば3・14尼崎大会のメインを闘うのは英国人レスラーの2人になることは、この時点で想像できていたはずです

いや、この2人に重要な一戦を任せたのかもしれません。

(オスプレイの一回戦の相手は天山広吉、ザックの一回戦の相手はゲイブリエル・キッド)

 

武藤敬司のタイトルマッチの対抗馬として期待されていた2人は、NJC準々決勝進出の切符以外にレジェンドレスラーの試合を超える試合を目指していたんだと思います。

英国人レスラー最高峰の2人だからできる、テクニカルでスリリングな激しい試合を。

 

英国人レスラーの試合をベストバウトと称した理由

 

オスプレイがザックとの激闘を制した裏で、武藤はNOAHの未来である清宮海斗相手に見事防衛を成功させました。

58歳のレスラーが魅せる“説得力”のある勝ち方に、多くのファンが魅力されたことでしょう。

 

ABEMAで無料配信されたNOAHビッグマッチですが、GHCヘビー級タイトルマッチが行われる直前に、こんな武藤の言葉が流されていました。

プロレスってフィジカルの部分だけじゃなくて、全てを背負った背景もひっくるめての勝負しないとね。等身大の武藤敬司で勝負するしかないなって

 

ザックとオスプレイのメインイベントを見た後、今年のベストバウト候補になるだろうとツイートしました。

フィジカルとテクニカルで魅せたプロレスを称賛したかっただけではなく、2人が闘っていた背景も知った上で見ていたから。

過去何度もライバルとして闘ってきた背景、外国人レスラーとして日本で闘い続ける覚悟、目の前の相手以外に伝説のレスラーのタイトルマッチに負けない試合を展開した2人に称賛は尽きません。

 

今夜も行われる2人のプライドのぶつかり合い

 

NJC最後の二回戦は今夜18時から後楽園ホールで行われます。

メインイベントは新日本プロレスの象徴派である棚橋弘至と、外国人トップレスラーを自負するジェイ・ホワイト。

負けたら終わりのトーナメントで、互いに2回戦で負ける訳にはいかないでしょう。

今夜も2人のプライドを懸けた熱戦を目の当たりにすることができそうです。