G1決勝で見せた内藤哲也の闘いは凄まじいものがありました。
試合後、内藤はマイクパフォーマンスで
4年前に、俺はこの『G1 CLIMAX』 、頂点に立ったんですが、あのときは背伸びをしていて、正直なことを言えませんでした。
ただし! いまの俺なら、自信を持って、言える。
この新日本プロレスの、主役は…俺だ!
引用:新日本プロレス
この試合、内藤哲也は自信を持って望んでいた理由と、主役になる為のメッセージを、試合を通して発信していました。
新日本プロレスにおいて内藤とL・I・Jは、国内外問わず人気があります。
試合の歓声、グッズの売れ行きを見たら、一番人気があると言っても過言ではないでしょう。
ただし、試合内容においては今年最も評価された試合は1.4東京ドームと6.11大阪城ホールのオカダvsケニー戦です。
試合中盤以降の場外での危険な攻防、いずれも45分以上の熱戦は、今年のベストバウトとの呼び声が高い試合でした。
この2試合と比べG1決勝での試合はどうだったでしょうか。
この試合、内藤はいつもやらないことを見せました。
普段なら絶対やらない、場外の机の上でのパイルドライバー。
ケニーは悶絶し、会場は騒然となった。
内藤はなぜ机の上でパイルドライバーを行ったのか?
ひとつは、オカダ対ケニーの試合に対抗してあんな危険な技を放ったんだと思います。
もうひとつ大事な所は、試合序盤に行ったことです。
以前、内藤は『試合時間が長い=良い試合とは限らない』ということを言っていました。
試合序盤ならそこまで流れを止めることはありませんが、中盤以降ならリングに戻れないぐらいのダメージを受けてしまいます。
1.4東京ドームの試合では、中盤以降の場外ラフファイトの結果、オカダは防戦一方になる時間帯が続きました。
内藤がこの試合に込めたメッセージのひとつとして、俺にもできるけど俺ならこのタイミングで使った方が、より魅力的な展開になる。
そういう思いを込めた、あのタイミングのパイルドライバーではなかったのでしょうか。
場外でのラフファイトは試合のメインデッシュではなくスパイスでいいというのが、内藤のメッセージでしょう。
また内藤はこの試合、ケニーのショートレンジのニーアタックとVトリガーを合わせて約10回くらっています。
私はこのVトリガーをあえて避けず、覚悟を持って受けていたと思います。
それは何故か。
それはVトリガーの後に必ず来る片翼の天使を、カウンターのデスティーノで狙っていたからです。
1度目のVトリガーは深く膝が入り、片翼の天使をリバースのフランケンシュタイナーで返すのがやっとでした。
2度目のVトリガーは膝が当たる瞬間、自ら顔を振ってダメージを最低限に抑えていました。
それでも相当なダメージがあったと思いますが、今度はカウンターのデスティーノを広角度で決めることに成功しました。
その後はご存知の通り、浴びせ蹴りからドラゴンスープレックス。
そして、最後まで隠していた旋回式デスティーノを決め、正調デスティーノでケニーから3カウントを奪いました。
旋回式デスティーノを隠し持っていたからこそ、ケニーの膝攻撃を耐える勇気があったんだと思います。
この試合を世界がどう評価したかは分かりませんが、間違いなく両国と新日本プロレスワールドで視聴したお客様には響いたことでしょう。
私にとっても今年一番のベストバウトでした!