約1万人のファンを熱狂させた「THE NEWBEGINNING in OSAKA」。
血まみれになりながらも、最後まで立っていたのは内藤哲也でした。
昨年のG1決勝を思い出させるような、バレットクラブ総出の入場。
試合が始まる前から心理戦で内藤を揺さぶろうとするのはKENTAでした。
内藤顔負けのトランキーロ戦法で、試合開始5分以上も殆ど触れることのなく始まった二冠防衛戦。
試合はKENTAのペースで進む時間が多く、内藤は劣勢の中耐え忍びました。
終盤盛り返した内藤ですが、KENTAが内藤を突き飛ばしレフリーがコーナーマットでサンドイッチされると、ジェイ・ホワイトの介入でピンチを迎えます。
すぐにBUSHIが助けに来るも、毒霧はかわされ万事休す。
しかし、1・5東京ドーム大会では助けに来なかった高橋ヒロムが登場し、ジェイをトラースキックで蹴散らしました。
お互いフィニッシュムーブを狙うも簡単には決まらず。
KENTAが奥の手として狙っていただろうコーナーの金具への叩きつけで、内藤は頭部を切り血まみれになってしまいます。
この後、KENTAの猛攻を喰らうもリバースフランケンシュタイナーで反撃すると、最後はデスティーノで二冠初防衛戦に勝利しました。
1・5東京ドーム大会から今日まで、もやもやした気持ちを持ち続けたファンは安堵したことでしょう。
批判を浴び続けたKENTAですが、前哨戦を盛り上げ大阪城ホール大会が満員になったことを思えば、東京ドームでの大合唱を阻止したことも間違いではなかったのかもしれません。
内藤もバックステージでKENTAの姿勢を称賛していました。
『彼は認めないかも知れない。彼、KENTA選手は認めないかも知れない。でも、ドームであれだけの行動を起こした覚悟、気持ちは痛いほど伝わってきた。いや挑戦者としてどうなんだってのはあったよ。東京ドームで負けておいて、乱入1発で……ドームで伝説を作ったこの2本のベルトに簡単に挑戦できるのかって。でも、俺言ってるじゃん。思っていることを口に出さなきゃ誰にも何も伝わらないから。行動を起こさなきゃ、誰にも伝わらないんだよ。そういう意味では、KENTA選手以上に相応しい選手は今回いなかったのかもしれないですね。そのへん! そのへん他の選手は危機感持ったほうがいいよ。別に褒めるわけじゃないけどさ、ああやって世界を経験したレスラーってやっぱり、ハングリー精神が旺盛なんでしょ。ちょっとでもチャンスがあれば入り込んでやろうっていうね。そういう姿勢、俺は好きだよ。KENTAのそういう姿勢俺は好きだよ。他の新日本の選手は危機感持ったほうが良いよ。彼みたいな大バッシングを受けたとしても、ああやって行動に出る。俺は本当に素晴らしいことだと思うよ。それにそういう覚悟も試合で伝わったしね』
引用:新日本プロレス
結果だけ伴わなかったKENTAですが、これで大人しくなることはないでしょう。
バックステージでは再び主役宣言しました。
『笑われるのわかって、もう1回だけ言うよ。今年はオレの年だ……』
引用:新日本プロレス
アンチ達おめでとう。
残念だが俺はまだ息をしてるよ。そして会場でG2Sタオル見えてたぞ。
改めて言おう。今年は俺の年だ。 pic.twitter.com/amBdT1QwLD— KENTA (@KENTAG2S) February 9, 2020
バレットクラブの介入も成功させ、コーナーの剥き出しの金具に内藤をぶつけても勝てなかったKENTAですが、両者の明暗を分けたものはなんだったのか?
内藤にあってKENTAに無かったものがあったのでしょう。
恐らく…
チャンピオンとしてのビジョン
二冠王者として新日本を盛り上がるビジョンがあるから、内藤は絶対負けられなかったんだと思います。
勿論、内藤が二冠奪取後のプランはないのかと質問したとき、KENTAも答えていました。
IWGPヘビーは返上、インターコンチネンタルのベルト防衛戦は地方で行い地方を盛り上げたいと…
しかし、内藤に言われてから考えたと発言しており、そのプランの本気度は未知数です。
内藤には沢山の夢があります。
6大ドームツアーも叶えたい夢でしょうし、東京ドーム大会での大合唱、直近では師弟対決となる高橋ヒロムとの対戦を熱望していました。
多くの夢を語ったことにより、その夢には多くのファンがその実現を願っています。
もう本人だけの夢ではなく、ファンの夢にも変わっていることでしょう。
自分の夢と多くのファンの夢を背負って闘う内藤にとって、これ以上の負けられない理由はないでしょう。
今後も負けられない防衛戦は続くでしょう。
多くのファンの期待を背負った二冠王者の逆転劇は、まだ始まったばかりです。