ヘビー級の猛者である石井智宏と、無差別級の闘いに興味を持ち始めたエル・デスペラードのNEW JAPAN CUP(以下NJC)開幕戦のメインイベント。
多くのファンが期待していた通り、いや期待以上の大熱戦だったのではないでしょうか。
今大会の無差別級トーナメントを象徴する一戦は、階級の差が決して試合内容に直結するわけではないと感じたことでしょう。
闘った本人は石井というレスラーの凄さを改めて実感していましたが、見ていた私達もならず者の可能性を存分に感じることができたベストバウトだったと思います。
自分の引き出しを全部さらって引っ張り出された
うえに
プラスアルファが知らんとこから出てきた感覚
その上で全てを受け止められて叩き潰された
もうここまでくると悔しいとか通り越していっそ清々しいわ
畜生
石井智宏ヤベー
— El Desperado (@ElDesperado5) June 16, 2020
思えば昨年のNJC開幕のメインイベントも、石井が務めました。
永田裕志に大熱戦を繰り広げ、漢と漢の闘いは後楽園ホールを揺さぶるほどファンの心に響く一戦だったと思います。
試合後も対戦相手を労うような熱いメッセージを残しました。
『言ったろ?言ったよな?自分でジジイとか年寄りとか言ってる野郎には負けねって。(中略)
そのためになんかやったのか、あいつは?なんもやってねぇだろう?なんか行動したか?なんもやってねえだろ。なんかアピールしたか?おい、現状に満足してねえんならなんで打ってでねえんだよ。チャンスなんか待ったって来るわけねえだろう。そんな野郎には負けねえつってんだ。(中略)
でも永田、てめえ50だろ?50だよな?まだ遅くねえ。もう一回気持ち入れかえて俺んところに来いよ。もう一回胸貸してやる。永田に言っとけよ。43のグリーンボーイからのメッセージって』
引用:新日本プロレス
あれから1年、まだまだやれることを証明した永田はNJC1回戦で鈴木みのると対決します。
結果はどうなるか分かりませんが、恐らく“永田ここにあり”と思わせる試合を見せてくれるでしょう。
1回戦で鈴木みのるを破り、2回戦でオカダカズチカと闘う姿も見てみたいものです。
デスペラード戦後のバックステージでも、リングの上の闘いで最も重要な“気持ち”について力説しています。
石井智宏「身体の大小は関係ねえんだよ。ゴチャゴチャうるせーな。もちろんよ、身体の大きさで有利不利はあるよ。でもリング上がったら関係ねえんだよ。(胸を指して)ここだよ、ここ。要はよ。それを実践すりゃいいんだよ。本能の赴くままに闘えばいいんだよ」
⇒https://t.co/1hXEnHjXsg#njcup pic.twitter.com/tlKBa3iTaS
— 新日本プロレスリング株式会社 (@njpw1972) June 16, 2020
『このトーナメント、ジュニアとかヘビーとかよ、騒いでるけどよ。特にあいつ、試合中も言ってたな?でも、俺からしたらヘビーもジュニアも関係ねえよ。俺は新日本来る前から、ずっとそういう闘いをしてきたんだ。身体の大小は関係ねえんだよ。ゴチャゴチャうるせーな。もちろんよ、身体の大きさで有利不利はあるよ。でもリング上がったら関係ねえんだよ。(胸を指して)ここだよ、ここ。要はよ。それを実践すりゃいいんだよ。本能の赴くままに闘えばいいんだよ』
引用:新日本プロレス
ヘビー級に対するジュニアの劣等感について語った石井ですが、もしかしたら階級論に対する警報なのかもしれません。
ジュニアがヘビーに勝てないなんて法則はなく、見た目で判断せず、闘いにおいて大事なのは強い気持ちなんだというメッセージ。
寡黙なイメージが強いレスラーだった石井が、いつの間に熱い想いを伝える伝道師になっていました。
リングの上でマイクを持たなくても、バックステージでの発言は多くのファンの心に響いていることでしょう。
他のレスラーに比べ伝える回数は少ないかもしれませんが、誰よりも“伝わるメッセージ”を発信できるプロレスラーなのかもしれません。
石井と闘って敗北したレスラーが、今後どう進化を遂げるのか…
改めて石井智宏というレスラーの存在が貴重な存在なんだと実感した、ニュージャパンカップ1回戦でした。