感動する試合、衝撃を受ける試合は数あれど、鳥肌が立つ試合は稀にしかない。
まさに鳥肌が立ってしまったのだからしょうがい。
エル・デスペラードに見舞った小島聡の渾身の一撃は、今まで見た中で最高にカッコいい小島聡だったのだから。
出場する選手が各自ルールを出し合い、ファン投票で試合のルールが決まるという異色の新設タイトル「KOPW」。
8・26後楽園ホール大会で行われた「KOPW2020」1回戦では、多様なルールの中、最も目を引いたのはデスペラードの小島の“必殺技禁止マッチ”でした。
10人いれば10人とも感想が異なるだろう「KOPW」。
特にデスペラードと小島の試合は、見る人によって評価が変わる試合でした。
賢く勝ったデスペラードか、美しく負けた小島聡か。
ファンそれぞれの選手の思い入れ度合いは勿論、ルールの好みも人それぞれでしょう。
恐らく、この試合はデスペラードの闘い方・勝ち方に“賛”が多く集まったんだと思います。
試合ルールが特殊な「KOPW」において、個人的にどの選手が一番ルールを利用できるかに注目していました。
しかし、「KOPW」の楽しみ方の斜め上を行ったのは、ルールを無視してでもレスラーとしてのアイデンティティを貫ぬいた小島聡の豪腕。
必殺技を使った時点で反則というルールの中、いつも以上に試合巧者の闘い方を見せたデスペラード。
普段あまり見せない引き出しを見せた小島でしたが、所々で迷いを感じているように見えました。
レスラー小島聡の代名詞とも言えるラリアットが使えない
ファンが楽しみにしているだろうラリアットを披露できない…
対戦相手に自分の誇りであるラリアットを馬鹿にされ、使わずに勝って意味があるのだろうかという迷い。
当然の結果だ
クローズラインを封印された小島なんぞ牛乳をかけられたキン肉マンのようなもの(アニメ版はラッキョウ)
そもそもそのクローズラインも紛い物だしな
「対ヘビー級」「対第三世代」
楽しませてもらおうじゃない#KOPW2020 #njpw https://t.co/KEPIjyxflH
— El Desperado (@ElDesperado5) August 24, 2020
相手がラリアットを繰り出せないから腕攻めする必要もなく、足攻めに徹するデスペラードは、やはり今回のルールを完全に掌握していたのでしょう。
レフリーが負傷した際は、禁止な筈のピンチェロコを狙い、挙句の果てには自らラリアットを放ち小島を挑発。
試合が終わる直前まで、「KOPW」の真髄を披露したのはデスペラードでした。
『必殺技禁止ルールの試合ってこんなにも面白い!』で終わる予定だった試合を、価値観ごと逆転させたのは、我慢しきれなかった小島のラリアットです。
試合に負けた筈の小島でしたが、試合後コーナーポストに寄りかかる姿は、勝者そのものでした。
「KOPW」は決められたルールの中どんな闘いを見せれるかという難題を、あっけなくルールを破るという荒技で会場の度肝を抜いた小島。
KOPW初陣となった試合で、ルールを破ってでも信念を貫き美しく負けたその姿に、カッコいいと言わずなんと表現すれば良いのでしょう。
試合後、バックステージの一言も痺れるくらい最高にカッコ良かったのは言うまでもありません。
『一つだけ…一つだけ言う。プロレスラーが本気で大事にしている技をバカにするな。おまえに言いたいのはそれだけだ』
引用:新日本プロレス
神宮大会の4WAY戦に進まなかった小島でしたが、「KOPW」を保持者になるより価値を高める反則負けだったんだと思います。
一勝の重みより、一番大切なものを守った闘いは、1日経ってもっと称賛されることでしょう。
レスラー人生で一番大切に使い、一番自信があって、一番尊敬しているレスラーから御教授頂いた技が使えない試合。
自分のプロレスラー人生で一番葛藤した試合だった。
でも、KOPWに関われた事には感謝しかないし、嬉しかった。
また立ち上がろう。
— 小島 聡【SATOSHI KOJIMA】 (@cozy_lariat) August 26, 2020
冒頭で言った通り、私には鳥肌が立つほどカッコいい負け方でも、人により評価は違うでしょう。
皆さんの意見が聞きたいです。
「KOPW」一回戦、どの試合があなたの好みだったか。
「KOPW2020」の一回戦の結果、神宮大会の4WAY戦に進んだのはご覧の4人。
エル・デスペラード、矢野通、SANADA、そしてオカダカズチカ。
強者・曲者のヘビー級レスラーに、1人だけジュニアの“ならず者”が加わると言うエモいシチュエーション。
注目は勿論、4WAYというイレギュラールールをどう攻略するかでしょう。
次のルールは『4選手同時に試合を行い、いずれかの1選手が勝利した時点で決着とする』になります。
衝撃の1回戦となった「KOPW」ですが、今後も闘う選手、選ばれたルールによって想像を超える試合が繰り広げられるのでしょう。
12月末の時点で最後に保持した者がチャンピオンです。
1年間で1回しか挑戦できないというルールはありません。
次の挑戦もカッコいい剛腕ラリアットに期待しています。