ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア(以下BOSJ)静岡大会のバックステージで、興味深いことを口にしたエル・デスペラード 。
プロレスだけでは伝えたいことは伝わらないのではないかと、自論を述べました。
『まあまあまあまあ、でもな、それぞれの考えがある。しょうがねぇか………。まあしゃべるヤツが一番面白えなんてことは微塵も思わねぇけどよ、どんなにすごい能力があったって、どんなに身体能力があったって、どれだけプロレスが面白くあったって、プロレス“だけ”で伝わる情報量ってそんなに多くないんじゃないか?』
引用:新日本プロレス
ここで言う情報量とはプロレス以外に“言葉”が必要ということでしょう。
静岡大会のメインイベントで勝利したデスペラードは、敗れたBUSHIに対し助言を残しました。
先日の後楽園ホール大会で口数の多いレスラーに対し『リングの上で見せろ!』と、全方位網に対し挑発したグレート・オーカーン。
この発言自体、後日訂正しましたが、高橋ヒロムは何かを変えるためにも言葉は重要であることを再び提言しています。
『ねえ、オーカーン様、「リング上で
見せろ」?ごもっともな意見だ!当たり前の意見だ。それを言っちゃったら、何か終わっちゃうんじゃねえかあ??黙って戦って、勝って、強いだけじゃ、この世界は、俺たちがやってるリング上でのこと全て、変えられねえんだよ。伝えなきゃ、変わらねぇんだ。まあ、いろんな悔しい思いをしてきた、チビの一意見だ。俺は、伝わるまで言う。強くなって、その言葉に力を、意味を、持たせる。簡単に、言葉を発してるんじゃない。覚悟を持って伝えてんだ』引用:新日本プロレス
デスペラード然り、ヒロム然り、伝える重要性を身に染みているから言える発言なんだと思います。
デスペラードが想いを伝えた日
デスペラードの『伝わる情報量』と、ヒロム の『覚悟を持って伝えること』は、言い方こそ違えど言いたいことは同じなのでしょう。
ここ数年で大ブレイクを果たしたデスペラードですが、恐らく覚悟を持って伝えた想いは“あの日の言葉”だったのではないかと思います。
あの日とは2018年の前半。
SNSでヒロムに鈴木軍の金魚のフン呼ばわりされたデスペラードは、IWGPタッグのタイトルマッチでヒロムの挑戦を退けました。
その1ヶ月後に行われたBOSJでの一騎討ちではヒロムに勝利。
後楽園ホールのメインイベント終了後に口にした言葉は、多くのファンに伝わる言葉を残しました。
『あんなに待ってたのに、“大嫌い”なんてさみしいこと言うなよ。答え合わせしてやってもいいぞ。お前、わかるっつっただろ!? じゃあもう隠したってもう意味ねぇもんな。
あ~あ~あ~あ~、んなワケねぇだろ、バカどもが!いつもいつも自分たちのハッピーエンドになると思うなよ。これが現実だ。俺のほうが、ヒロムより…強かった』
引用:新日本プロレス
プロレスと必要な言葉で、デスペラードというレスラーのアイデンティティを伝えた歴史的1日。
あの日の言葉があったから、今のデスペラードが存在するんだと思います。
レスラーの凄さ・強さを見せるのは試合以外ありませんが、プロレスラーを伝えるには言葉が必要不可欠なのかもしれません。
ライバルストーリーを築くにも、感情を言葉にして伝える必要があるでしょう。
言葉の重要性に気付いたデスペラードは、数年後ジュニアのトップに君臨しました。
デスペラードが言葉の重要性に気付くキッカケになったのはヒロムの言葉だっただけに、今回の助言で他の選手に変化が見られれば、新日ジュニアはさらに面白くなるかもしれません。