新日ノア対抗戦総括『内藤哲也とプロレスのチカラ』

内藤哲也【撮影:koba】
対抗戦




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ABEMA  PPVで配信されていた新日本プロレスとプロレスリング・ノア(以下NOAH)の対抗戦ですが、遂にNJPW WORLDとWRESTLE UNIVERSEで配信されました。

まだ見ていなかったファンの多くは、先週末視聴したことでしょう。

 

“対抗戦”という刺激的なワードに、様々な年代のプロレスファンが期待していた大会だったと思います。

どちらが優れた団体なのか、どんなドラマが生まれるのか、お祭りムードな多幸感に包まれるのか…

人それぞれ想いと期待を込めて、見る前から対抗戦の意義を考え、見届けたことでしょう。

私も対戦カードが発表になった時点で“メッセージ性の強い大会”になったという印象を持ちました。

この対抗戦のハッシュタグは『#プロレスのチカラ』。

様々な立場の方がプロレスのチカラをテーマに、あの日を迎えたことでしょう。

今回は珍しく大会 “総括” をしてみようと思います。(総括と大袈裟な言い方をしましたが、一プロレスファンの感想です)

 

清宮海斗とスーパースター論

 

対抗戦で一番印象に残った選手と言えば、NOAHの清宮海斗という意見は多いでしょう。

名前と顔を覚えた新日本ファンも多いと思います。

敗れたオカダカズチカに罵倒され、人目もはばからず涙を流し、パートナーの武藤敬司には肩を貸されリングを後にした清宮。

ドラマで例えるなら悲劇の主人公であり、その姿は等身大の若者でした。

NOAHの未来と称される清宮とオカダとの一戦は、団体にとっても悲願だったと思います。

 

バックステージではオカダが清宮に新日本で修行したらどうかと提案。

これに対し『清宮海斗が新日本プロレスに参戦して欲しいかどうか』アンケートを取りましたが、この時の記事で使った言葉が“スーパースター”というワードです。

 

なぜ、スーパースターというワードを使ったのか?

NOAHが業界1位に立つために必要な人材であり、全ての形成を逆転できるパワーを秘めているのが“スーパースター”です

かつて新日本にオカダカズチカが凱旋帰国し、エースであり唯一無二の存在である棚橋弘至とライバル関係を構築。

2013年から6年連続で東京ドーム大会のメインイベントを務め、新日本に金の雨を降らせました。(ダブルメインイベント含む)

オカダカズチカというスーパースターが生まれたから、今の新日本が存在するとも言えるでしょう。

 

内藤哲也も同様です。

何度も挫折を味わいながらも、メキシコからロスインゴを持ち帰り、自由を手にした内藤はファンから絶大な支持を得ました。

ベルトを超える存在となり、内藤のテーマ曲が流れた瞬間、会場は別世界に変わります。

内藤の存在は観客動員にも大きく影響を及ぼし、まさにスーパースターと呼ぶに相応しい存在でしょう。

 

今のNOAHに必要な人材はスーパースターだと思っています。

いや、NOAHが業界1位になるためにはスーパースターというピースは絶対必要でしょう。

そしてその役割を担えるのが清宮海斗というレスラーです。

そう思うと対抗戦のメインイベントは、清宮がスーパースターになる為の試練とも言えました。

若干25歳の青年がここ数年で経験したことは、同年代のどのレスラーよりも濃密な時間だったかもしれません。

清宮のレスラー人生第一章が終わり、これから第二章が始まるのでしょう。

プロレスのチカラが清宮を成長させた、そんな対抗戦でした。

 

内藤哲也とプロレスのチカラ

 

メインイベントのもうひと試合、新日本のロスインゴ対NOAHの金剛も大注目のカードだったと思います。

ロスインゴには前IWGP世界ヘビー級王者の鷹木信悟、ベルトを超越した存在の内藤哲也が存在し、金剛にはGHCヘビー級王者の中嶋勝彦、GHCナショナル王者の拳王がいます。

対抗戦の中でも最も豪華な試合と言えたでしょう。

人気ユニット対決としても注目を浴びた試合でしたが、個人的に注目していたのが拳王がロスインゴと内藤哲也をどう“体感”したかでした。

 

拳王が金剛を立ち上げたのは2019年の5月。

会社に左右されず、強い信念を持った者同士が、ダイヤモンドの如く光り輝くユニットを目指し作られた金剛。

業界ナンバーワンユニットを目指し、NOAHをプロレス界の頂に連れて行くために作られたユニットでもあります。

 

会社の後押しなしに作られたユニットは、少しづつ仲間を増やし、これだけ魅力的なユニットになりました。

NOAH内で最も光り輝くユニットとなりましたが、当然拳王は金剛結成当初からロスインゴを意識していたでしょう。

ロスインゴの人気は凄まじく、まさにプロレスのチカラを感じるユニットです。

 

セルリアンブルーのマットの上でロスインゴの登場を静かに待った拳王。

ロスインゴの入場に何を感じたのか。

そして会場の空気を一変させた内藤哲也の登場に、何を体感したのか…

 

恐らく、拳王は自分が体感したことのないプロレスのチカラを感じたことでしょう。

同時にロスインゴを越えるユニットにするため、もっと金剛を磨き輝かせると決意したんだと思います。

 

試合後、ノーコメントで引き上げた金剛ですが、拳王は未だにロスインゴ戦のことについて何も語っていません。

対抗戦が決まった時も元日の日本武道館大会が終わるまで、拳王は明言を避けました。

言葉を大事にする拳王は、発言するタイミングも大事にしています。

拳王が対抗戦と内藤哲也を語るとき、一体何が始まるのか…

 

1月8日という歴史的一日は、『ロスインゴvs金剛』の序章に過ぎません。

その序章に多くのファンが歓喜したのですから、やはりプロレスのチカラは絶大なパワーがあるんだと思います。