前代未聞となった“怨念坊主”飯塚高史の引退試合

“独り言考察”




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32年間のプロレスラー人生に幕を閉じるべく、最後のリングに上がった飯塚高史

もしかしたら、元の飯塚に戻るのではないか…

多くのファンの期待により、後楽園ホールは過去最高の飯塚コールが響き渡りました。

 

かつて飯塚の名前を轟かせたスリーパーホールドを繰り出し、オカダのレインメーカーを飛び付き式膝十字固めで返したときは、もしかしたらもしかするかもって思ったのは私だけではないでしょう。

天山の“友情TシャツON THE ムーンサルト”が決まり飯塚から3カウントを奪った後、少しだけ奇跡が起きました。

 

鳴り止まない飯塚コールの中、天山が呼ぶ声も届いていたことでしょう。

一瞬ではない数十秒間、天山と飯塚の2人の間に生まれた奇跡。

何度も悶えた飯塚は、ヒールレスラー飯塚の意思に反し天山が差し伸べた手を握り返しました。

 

結局は、元の怨念坊主に戻り天山にアイアンフィンガーを食らわせた飯塚。

試合後も観客席を徘徊し、控え室に戻っても鳴り止まない飯塚コールに、本当はリングに戻って来たかったのではないでしょうか。

 

帰らないファンの期待も虚しく、飯塚は再びリングに戻ることはありませんでした。

最後の最後までヒールレスラーを貫いたということでしょう。

 

しかし、リングの上での天山の想い、そしてバックステージでの気持ちは、飯塚に心に届いていたのではないでしょうか。

『最後の最後、あの飯塚高史が元に戻って、もう1回、もう1回、引退なんて言わんで、もう1回カムバック。

今日、見たでしょ? 昔の飯塚のスリーパーやらブリザードやら。あんないいモン持ってんねん! チキショーだよ! まぁね、本人が、もうやめるっていってるんやったらどうしょうもないですけど、もったいない! 

もう1回、もう1回、夢見たかったっていう

飯塚高史と、もう一度だけ、プロレスに友情があるのかどうか

(中略)

まさか、どっかで闇討ちすることはないやろうけど、次現れるときは、元の飯塚に戻ってほしいね

引用:新日本プロレス

 

かつて、こんな形の引退セレモニーはあったでしょうか。

花束贈呈もなく、所縁のある選手も現れず、10カウントは客席を歩き回りながら流される。

しかも、リングアナの公式な10カウントではなく、鈴木みのるがこれで十分だろうと言わんばかりに打ち鳴らす…

 

思えば引退試合が行われること自体、幸せなことかもしれません。

先月退団したKUSHIDAが言っていたように『レスラーにとって最高の環境』である新日本で、プロレスのキャリアを終わらせるという選択ができたということ。

常に試合に出れるわけではありませんが、レスラーとしての仕事が多岐に渡るのも環境にもなりました。

 

飯塚と同年代の第三世代のレスラーは、まだまだ第一線で活躍しています。

しかし、飯塚同様動ける内に有終の美を飾るという選択肢も生まれるかもしれません。

直近の話でなくとも数年後新日本で引退をする選択肢も生まれることでしょう。

 

もしかしたら…

次誰かが引退する時、レスラー飯塚高史が姿を現わすかもしれません。

 

ヒールレスラーを貫いたと言えばそれまでですが、なぜ飯塚は元の飯塚に戻らなかったのか?

いや、元の飯塚に戻らない理由があったのではないでしょうか。

 

それは…

天山広吉の引退セレモニーに登場するため

 

まだ先の話でしょうが、天山が引退し引退セレモニーが行われる時、かつての飯塚が現れるのではないでしょうか。

最後までヒールレスラーを貫いた飯塚が、引退後元の飯塚に戻り天山に花束を渡す。

飯塚が元の飯塚に戻らなかったのかのは、かつてのパートナーに最高の花道を用意する為なのかもしれません。

 

あくまで憶測ですが、ファンの声援、天山の想いが届いているなら、もう一度だけセルリアンブルーのマットに姿を現わす日が来ると信じています。

その時が、元に戻った飯塚高史の言葉が聞ける瞬間なのかもしれません…