直前に迫った21年振りの野外興行「SUMMER STRUGGLE in JINGU」。
神宮球場で行われる野外のビッグマッチとしては少し寂しい全6試合ですが、その分それぞれの闘いが濃厚な内容となるでしょう。
スペシャルシングルマッチ1試合、「KOPW2020」初の保持者を決める4WAYマッチ、タッグのタイトルマッチ1試合、シングルのタイトルマッチ3試合とバラエティに富んだ内容となります。
どの一戦も注目度が高く今後の展開を左右する重要な試合ばかりですが、中でも私が期待しているのが大阪城ホール大会以来、2回目となるEVILと内藤哲也の二冠戦です。
そう、否定的な意見が多かった “二冠戦” のリマッチに注目しています。
今まで見せてこなかった過度なダーティーファイトと介入でNEW JAPAN CUPを制し、元パレハである内藤すら同様の手口で葬ったEVIL。
SNSでも批判的な意見が多かった二冠戦のリマッチです。
恐らく、神宮大会のメインに期待できないファンもいるのではないでしょうか。
そもそもなぜ、内藤とEVILのタイトルマッチに期待するのか?
それは、私にとって大阪城ホールの二冠戦は「内藤哲也 vs EVIL 第0章」に過ぎなかったから。
ロスインゴと内藤哲也を裏切ったEVIL。
初のパレハであるEVILと内藤の二冠戦に期待を膨らますファンも多かったと思います。
しかし、試合内容は内藤は古傷の膝を攻められ、3度の介入と急所攻撃で3カウントを奪われてしまいました。
内藤の持ち味を出せたかと言われたら『NO』と答えるファンの方が多いのではないでしょうか。
そもそも、あの二冠戦はコロナ禍の状況でもプロレスが再開できるようになったご褒美だと思っています。
2月26日の沖縄大会以来、一切試合ができず普段通りの練習すらできなかった両者です。
約4ヶ月振りとなる実戦で半月でシングルマッチを5試合勝ち抜くというハードな闘いを強いられたEVIL。
そして、大阪城ホールの二冠戦まで数回のタッグマッチしか実戦を経験できなかった内藤哲也。
得意ムーブも足を滑らせては、試合勘が戻っているとは到底思えません。
明らかにコンディションに差があった2人です。
このまま真っ向勝負で闘っていたら、どんな結末を迎えていたのでしょう。
違う意味でのバッドエンディングになった可能性も考えられます。
2人のコンディションの差を考えたら、足攻めで内藤の機動力を奪った闘い方はスマートでした。
試合に支障が出るほどの怪我をしている選手、試合勘が戻っていない選手との闘いは、試合をする双方にとって危険です。
内藤の古傷である膝攻めで蹂躙し、度重なる介入とダーティーファイトで試合を終わらせたEVIL。
フラストレーションが溜まる内容だったからこそ、明日の神宮での二冠戦に期待が膨らみます。
大阪城ホールの二冠戦とは違う内容が想定できますが、神宮での二冠戦も介入やダーティーファイトは繰り広げられるでしょう。
それでも期待が膨らむのは、2人ともコンディションが整っていると想定できるから。
完璧な状態の内藤と闘えるとなれば、EVILも高橋ヒロムとの二冠戦のように真正面からぶつかる場面も増えるでしょう。
コンディションに差がない、言い訳ができない状態だからこそ、今回の一戦が「内藤哲也 vs EVIL 第1章」になると思っています。
今回の二冠戦を “崖っぷち” と表現した内藤。
8/29(土) 神宮大会まであと2日!
二冠戦挑戦者・内藤哲也に、神宮球場でインタビュー!https://t.co/YMh8uk4jcf
21年前の神宮大会をスタンド席で観戦していた内藤が、明後日マウンドのど真ん中でメインイベントに立つ!
神宮大会の詳細はコチラから!https://t.co/sSyJZJqs17#njpw #njsst pic.twitter.com/qhFmSeNcRH
— 新日本プロレスリング株式会社 (@njpw1972) August 27, 2020
当然、2度同じ相手に負けるわけにはいかない内藤は崖っぷちですが、バレットクラブ主力メンバーが海外にいるEVILの方が崖っぷちです。
どのタイミングで日本に戻って来れるかは分かりませんが、二冠のまま合流できるのか、“手ぶら”の状態で合流するかでは雲泥の差でしょう。
バレットクラブのトップはジェイ・ホワイト、昨年新加入したKENTAや長年いるメンバーも沢山います。
手ぶらの状態で受け入れられるかどうかは不安です。
ある意味、常に崖っぷちに立たされているのはEVILかもしれません。
いつか2本のベルトを失った時、ディック東郷、邪道・外道はどんな反応を示すのか?
もしかしたら、この相手に負けるなら仕方ないと思わせられるのは内藤哲也なのかもしれません。
この二冠戦の呪縛に終止符を打ちたいと語ったのは内藤です。
内藤だってどんな手を使ってでも、EVILに勝とうと思っていることでしょう。
目には目を歯には歯を、フェイクBUSHIにはリアルBUSHIを…
EVILに引導を渡すのは自分だと思っているだろう内藤哲也。
2人の物語を深めるためにも、この二冠戦は必要なんだと思います。
私自身、今回の二冠戦は内藤の勝利が見たいです。
これは予想ではなく願望。
メインイベントの勝利は、『デ・ハ・ポン』の大合唱に直結します。
野外ステージで行われる、夜空を背景にした初めての大合唱。
最後の締めを壮大に言い間違えて欲しいと願っています。
『最後の締めは勿論……イービル…』
野外興行初の大合唱に、EVILの名前を叫ぶことができる唯一のチャンスです。
来年チャンスがあっても、もう間違うことはないでしょう。
この間違いが、数年後に再び手を取り合う布石になると信じて。