ZERO1旗揚げ20周年&21周年記念大会で大谷晋二郎が頸髄損傷の怪我を負ったことについて、非常に残念な報道を目にしてしまいました。
それは対戦相手だったプロレスリング・ノア(以下NOAH)の杉浦貴に対して、誹謗中傷があったということです。
13日に行われたNOAHのビッグマッチ会見で、記者と武田取締役との一問一答で明らかになりました。
――ZERO1 4・10両国で大谷選手が負傷した件について、NOAHとしてはどんな対応をしていきますか? 武田 今は大谷さんの回復を祈る。それが一番ですね。ZERO1の神尊(仁社長)さんと連絡を取り合ってます。随時できることはやらせていただきますという話はしています。 ――杉浦選手と話は? 武田 少しは話してます。杉浦さんもプロなので、会見の場には出てきますけど、まだ深く話す段階ではないですね。 ――杉浦選手の様子は? 武田 それは誰もが同じと思います。落ち込んだ様子はありますね。 ――SNSなどでは心ない声もあるが? 武田 これはひたすらお願いするしかないんですけど。プロレスファンではないと思います。試合を当日見ていない、報道を見た方が誹謗中傷に当たるのではないかという書き込みも見受けられるので。やめてほしいというお願いをひたすらするしかないです。 |
プロレスの技に対する書き込みがあることは知っていましたし、今に始まったことではありません。
そもそも危険でない技など無いでしょうし、プロレス以外のスポーツでも危険は伴います。
これは格闘技だけではなく、メジャースポーツの野球だってサッカーだって、選手が命を落とすような危険な場面は存在するはずです。
選手は怪我をしないように、怪我をさせないように日々練習をしているのであって、今回の怪我は事故以外の何物でもないと思っています。
それにもかかわらず、対戦相手の杉浦を誹謗中傷するという行為はあってはならないことです。
プロレスを知らない方であろうと、プロレスファンであろうと。
対戦相手を責めても何も解決しません。
仮にその発言でプロレスの怪我が減少するキッカケになると思っているなら、大きな間違いでしょう。
ただ怪我をさせてしまった選手を傷付け、苦しめているだけということに気づくべきです。
そもそも、大谷が怪我をした試合を見た上で杉浦を責めているのか疑問が残ります。
ZERO1旗揚げ20周年&21周年記念大会ですが、現地で観戦する以外はサムライTVで配信されていました。
まだZERO1の公式YouTubeチャンネルにもアップしていません。
恐らく、杉浦を責める方はこの試合の映像を見ていないのではないでしょうか。
ニュースやイメージだけで人を誹謗中傷することなどは論外です。
では、あの瞬間何が起きていたのか、もう一度事故が起きた試合を確認してみました。
怪我をした直後の大谷の様子と杉浦の対応
試合が始まって15分手前、エルボーの打ち合いがヒートアップする両者。
隙が生まれた大谷のバックを取った杉浦が、コーナーパッドへジャーマンスープレックスを繰り出しました。
この技自体は他の団体でもよく目にする技であり、放り投げたというよりコーナーパッドにぶつけたという印象です。
この直後に動かなくなった大谷ですが、再度見返すと大きな発見がありました。
実はジャーマンをくらった直後、大谷は寝たまま首を左右に振っており頭を少し起こしています。
この時点で動けないのか、動かないのか判断は難しいでしょう。
これを見た杉浦は『終わってねぇぞ!』と近づき大谷の喉を掴みました。
実際は掴むというより、喉にそっと手を当てています。
この時点で、異変に気付いたかどうかは定かではありません。
恐らく、大谷の状況を確かめる為に近づいたのでしょう。
少し間を置き再度近づいた杉浦は大谷を起き上がらせようとしましたが、実際は首に触れただけで、再び大谷の状態を確認したように見えました。(慎重に首に触れています)
この後も大谷は頭を持ち上げセコンドに話しかけていましたが、首以外は動いていなく、杉浦もリング中央に戻っています。
この後の状況は報道の通りです。
試合終了のゴングがなるまで対戦相手として闘う姿勢を見せた杉浦は、倒れた後の大谷に対し細心の注意を払い対応していました。
一方で大谷は意識があっただけではなく、首も動いていたという事実があります。
手術成功
今後の悪化を予防する為の手術を行った大谷ですが、最新の報道では手術は無事成功し、次のステップとなる治療のために転院したそうです。
『プロレス団体のZERO1は14日、頸髄損傷と診断された所属選手の大谷晋二郎(49)が13日に今後の悪化を予防する手術を受け、執刀医から「予定通りの処置はできました。順調です」と、成功の報告を受けたと発表した。この日、次のステップとなる治療のために転院した。大谷の意識は安定しており、医師や家族と相談しながら治療に取り組んでいる状況だという』
引用:デイリースポーツ
脊髄損傷の大谷晋二郎、悪化予防の手術成功 執刀医「予定通りの処置できた。順調」/ファイト/デイリースポーツ online https://t.co/sqC19cmVRP #DailySports
— デイリースポーツ (@Daily_Online) April 14, 2022
今回の一件は当事者だけではなく、多くのレスラーがプロレスに付いて深く考えさせられた一件だったと思います。
自問自答し悩んで悩んで、それでも発信する義務感に駆られたレスラーもいるでしょう。
そんなレスラーを責めることも、あってはならないと思います。
勿論、そんな発言した方を誹謗中傷してもいけません。
「何が良くて何が良くないのか、30年以上プロレスを続けても解りません」というツイートに対して、「それが解らないならプロレス辞めてくれ」というご意見が届く。
理屈では解ります、良くない事は。
だけど、プロレスは目の前でお客さんに観て頂いてる。だからこそ、多くの葛藤が生じるのです。
— 小島 聡【SATOSHI KOJIMA】 (@cozy_lariat) April 13, 2022
今、大谷がどんな状態なのか分かりませんが、手術が無事成功したことは朗報です。
怪我した直後に首を動かせていたことを思うと、回復の見込みがあると信じています。
今回の一件で多くの反響があったということは、やっぱりプロレスは家族のように愛されるコンテンツだということです。
杉浦貴選手の為にも、大谷晋二郎選手が回復することを祈って、続報を待ちたいと思います。