個人的な意見ですが、今年のG1でジェイが優勝する姿は全く想像できません。
これはBブロックの代表が決まる前に書いた、記事の一文です。
この後ジェイ・ホワイトが優勝決定戦に駒を進めましたが、結局優勝することはありませんでした。
IWGPヘビー級王者のいるブロックからは、G1優勝者が生まれないというジンクス。
そんなデータがあったのにも関わらず、ジェイが優勝するとは思えなかった理由があります。
飯伏幸太の初優勝で終えた、令和元年のG1クライマックス。
最後の最後まで先が読めない展開でした。
もしかしたら、多くのファンがバットエンドを覚悟していたのかもしれません。
リーグ最終戦終了後には、ジェイ・ホワイトから怪我をしている左足をパイプ椅子で殴打されてしまいます。
G1開幕戦で怪我をした足は、過密スケジュールと激闘で限界だったのかもしれません。
ギリギリ耐え抜いてきた左足も、パイプ椅子の前では悲鳴を上げるしかないでしょう。
そして、決勝当日も嫌な予感しかしませんでした。
決勝戦当日バレットクラブに電撃加入したKENTA。
そのKENTAと、この日出場したバレットクラブのメンバー全員セコンドに付くという絶望的な展開。
今年は1人で闘うことになった飯伏と、大人数で囲んだジェイ・ホワイト陣営。
これほどまで、救いのない状況は無いでしょう。
しかし、この状況を救ったのはレッドシューズ海野レフリー。
外道以外はセカンドに認めないと、他のバレットクラブのメンバーを控え室に戻すことに成功しました。
それでも試合中盤、外道の介入でまたしても左足をパイプ椅子で殴打された飯伏。
絶体絶命のピンチも、1人で切り抜ける覚悟を持って臨んでいたのかもしれません。
最後まで1人で闘い抜いた飯伏は、G1のジンクスすらも打ち破り、見事初優勝を成し遂げました。
「新日本プロレスは“新しい時代”に進みます!」
ジェイとの壮絶マッチを制し、飯伏が悲願の『G1』初優勝!!
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圧倒的なファンの支持を背に、怪我をしても闘い続け、介入すらも耐え抜き優勝した飯伏の姿に、ハッピーエンドと言わずになんというのでしょう。
今年のG1も、文句の付けようのない多幸感に包まれたエンディングでした。
仮にジェイが優勝していたら、大ブーイングでバットエンドと言われていたことでしょう。
G1とは1年間で最も特別な大会であり、他の大会とはまた違う側面を持ったファンが純粋にプロレスを楽しむ期間です。
1万人規模の会場で行われる決勝戦は、多くの観客が最高のエンディングを期待しています。
NJPW WORLD(ライブ&オンデマンドサービス)で試合を視聴しているファンも同様でしょう。
つまり、G1クライマックスのエンディングは…
ハッピーエンドを求められている
Congrats 🏆🎊🎉
Thank You‼️
G1 CLIMAX 29👠 pic.twitter.com/iXmiFTvGpf
— Red Shoes UNNO (@5742ytsh) August 12, 2019
約1か月に渡る長き闘いは、エンディングに向かうにつれ幾つもの試練を乗り越え辿りつく場所です。
それは選手にとってもファンにとっても同様なことだと思います。
2018年
怪我で苦しみ続けた棚橋弘至が、エース健在アピールで完全復活。
2017年
悲願の東京ドームメインイベントへの切符を獲得した内藤哲也が、2回目の主役宣言。
2016年
海外オファーの絶えないケニー・オメガが、日本語解禁で“そっち行かない”とファンに約束。
誰が優勝してもハッピーエンドで幕を閉じてきたG1クライマックス。
逆に言えば、優勝するレスラーにはハッピーエンドが求められているとも言えます。
武道館で試合を見たファンもNJPW WORLDで視聴したファンも、エンディングの多幸感に包まれプロレスの素晴らしさを語り合ったことでしょう。
また見たい、また来たいを思わせる場所がG1クライマックス決勝戦なんです。
試合前日まで誰の試合が組まれるか発表されない決勝戦は、何日も前にチケットがソールドアウトになります。
決勝戦が行われること以外、何も決まってない大会のチケットが事前に売り切れてしまうという事実。
一般世間で考えれば、尋常ではない事態でしょう。
ファンは圧倒的な期待感を胸に、何が起こなわれるか全く分からないチケットを購入するということです。
ファンは期待しています。
長い闘いの勝者を決める闘いが、今夏一番の激闘になることを。
そして、最高のフィナーレを迎えることを。
決勝戦に残った選手はファンの期待を感じているし、ファンの願いを叶える為にも自分が勝たねばと思うことでしょう。
今年で言えば飯伏が優勝すれば、必ずハッピーエンドで大会は終わります。
つまり、何が起きてもどんなことをされても、優勝してファンを感動させたいという覚悟が飯伏にはあった。
その覚悟が、ジェイ・ホワイトの野望を打ち砕いたんだと思います。
ジェイは近い将来、必ずG1を制覇できる才能を秘めた選手です。
恐らくその時は、ジェイの優勝で最高のフィナーレが生まれる時代が来るでしょう。
その時代が来るまで、ジェイの優勝は阻止され続けられるのかもしれません。