新日本プロレスが10・9両国国技館大会に向けての記者会見を実施しました。
ABEMAで生放送された記者会見の内容は新日本プロレス公式サイトで確認できますが、なんと今回のビッグマッチはABEMAで無料配信されるとのこと。
しかも、ABEMA独占中継ということで多くのファンが様々な反応をしています。
【お知らせ】
10月9日(月・祝) 両国国技館大会、当日17時からABEMA格闘チャンネルでの“独占無料生中継”が決定!https://t.co/tYLNYT0RQr#njdest #ABEMA pic.twitter.com/4Q4cfnP93H— 新日本プロレスリング株式会社 (@njpw1972) September 19, 2023
無料配信であることに歓喜するファンがいる一方で、ABEMA独占生配信であることに批判的な意見や抗議のコメントを多く見かけました。
特に多かったのは有料サービスである「新日本プロレスワールド(以下ワールド)」で見れないなら、会員であるメリットがないというもの。
お金を払ってるから見られる権利という優位性に対し、誰でも無料で見れるなら有料会員である意味がないという意見なのでしょう。
好きなコンテンツに熱意を持って意見を言うことは良いことであると思いますが、今回のABEMA独占無料配信が有料会員にとってメリットが無いとは思いません。
他にもABEMAの見かたが分からないとか、ゲストに対する苦言などありますが、今回の発表をまとめたいと思います。
▪︎無料生配信はABEMAの独占 ▪︎アベマビデオにて1週間無料アーカイブで公開 ▪︎ABEMA格闘チャンネルで配信 ▪︎実況はテレビ朝日アナウンサー、解説はミラノコレクションA.T.さん、ゲストに武藤敬司さんとタレントのまつきりなさん |
https://twitter.com/Abema_Fight/status/1704068680412471793
まずABEMAの無料生配信ですが、誰でも無料で視聴することが可能です。
また生配信後も1週間無料で視聴可能と謳っています。
ABEMAはスマホ、タブレット、PCのブラウザおよびアプリダウンロードで見ることができます。
またメディアストリーミングデバイスを使えば、TVでの視聴も可能です。
つまり、ネット環境と何かしらのデバイスがあれば誰でも見れるということになります。
また、ABEMAで放送されるからといって、ABEMA未視聴の層やABEMAユーザー全員にリーチできるわけではありません。
ABEMAの中でも格闘チャンネルで放送されるということは、プロレスリング・ノア(以下NOAH)やK-1、ONE Championshipなどの格闘ジャンルを見ている層にリーチしやすいということであり、プロレスを知らない方より新日本を見てもらえる可能性が高いとも言えます。
ゲストがNOAHでお馴染みの武藤敬司さんやまつきりなさんというのも、ABEMA視聴者層が多いNOAHファンが見やすい環境を意図して作っていると言えるでしょう。
なぜ、そこまでしてABEMAで独占で配信しなければならないかと言えば、新規ファンを獲得したいからです。
親会社であるブジロードの「中期戦略計画」の中に、子会社である新日本プロレスの収益力強化の施策として以下の2つが掲げられています。
▪︎コロナ禍で減少した国内動員数を新規ファンも拡大しながら回復
▪︎企業/自治体コラボを通じたB2B収益強化と新たなファン層へのリーチ
新たなファン層へのアプローチと新規ファン獲得の施策が厳命されている新日本としては、今回の独占無料生配信は新規ファン獲得のためABEMAに協力してもらっている状況とも言えるでしょう。
いつものこと、当たり前じゃなくなること、変化への対応に面倒くさいと感じるかもしれませんが、全ては新日本プロレスが更なる発展を遂げるためです。
ブジロードの「中期戦略計画」にはこんなデータも載っています。
新日本の直近の売上が、新日本の売上の3割弱のスターダムと営業利益が殆ど変わらなかったという事実です。
売上高 | 営業利益 | |
NJPW | 52.9億円 | 2.3億円 |
STARDOM | 15.3億円 | 2.5億円 |
昨年度は歴代2位の売上高を記録した新日本プロレスですが、コロナ前に比べると営業利益は激減しています。
これまで最も収益率が高かった興行収入が6割程度しか回復していないので無理がありません。
興行以外で売上を伸ばすために様々なコンテンツを発信している一方で、コストが増えてしまっているためでしょう。
新たなファン獲得は売上増にも収益増にも繋がります。
売上が上がり収益が増加すれば、選手、スタッフの方々への還元は勿論、興行のセットが豪華になったり、新たな選手を呼べたり、所属レスラーの再契約にも繋がることでしょう。
直接的な恩恵は目に見えにくいかもしれませんが、有料会員であることに意味がないことなんてありません。
ワールドの会員であるということは、それだけで新日本を支えるファンのひとりだということです。
とはいえ、今回のABEMA独占生配信に納得がいかず、ワールドを解約しようと思っているファンもいると思います。
納得がいかない時は、思い切って有料会員を解約するのも手でしょう。
離れて初めて気付くことが沢山あると思います。
ワールドのサービスの充実さ、コンテンツの量を知る良い機会になるかもしれません。
目の前だけの情報に一喜一憂するのではなく、興味を持って“なぜ”を考えることも時には必要なんだと思います。