「SUMMER STRUGGLE 2020」で行われている後楽園ホール大会4DAYS。
待っているだけではチャンスは巡ってこないレスラー人生において、各々の選手が自己主張を始めました。
ベテランレスラーの1人とも言える小島聡が、珍しく試合の後マイクを握り“ある主張”をしています。
『ちょっとだけ言わせて貰おうかなと思います。巷で噂のK・O・P・Wとやらに、私も立候補したいと思います。いや、言っちゃうぞバカヤロー』
今年の「NEW JAPAN CUP」1回戦で敗れた小島は『私の様なベテランは、厳しい現実を痛感する』とプロレスの残酷な一面を語っていました。
チャンスは待っているだけでは回ってこない、ベテランと言われるレスラーなら尚更かもしれません。
そんな悲観的なコメントを口にしていた小島聡が、KOPW出場を直訴。
ファンはその言葉、そのアピールを待っていました。
他にもKOPW出場をアピールしているレスラーはいましたが、会場でマイクを握り出場をアピールしたのは小島が初でしょう。
この出場アピールに退場しようとしていたエル・デスペラードが噛み付き、KOPW1回戦のカードは決まったも同然です。
全てのファンが小島聡というレスラーのファンとは言い過ぎかもしれませんが、レスラーの自己主張を歓迎するファンは多いと思います。
しかも、対戦相手がKOPW出場をずっとアピールしていたデスペラードとなれば、その注目度も高くなるでしょう。
一部の雑音など気にせず、新日本プロレスで1番元気なレスラーを続けて欲しいと願うばかりです。
昨晩はもう1人、珍しくマイクを握りその想いを語ったレスラーがいます。
新日本プロレスで最もハートが砕けないレスラーです。
今夜のNEVER無差別級6人タッグトーナメント決勝戦に進むことが決まったCHAOSの3人。
試合終了直後、石井智宏が飯伏幸太を挑発し、あわや乱闘騒ぎになりかけ、不穏な空気が会場を覆います。
重い空気の中、この日の後楽園ホール大会は終わってしまうのかと思われましたが、その空気を180度変えたのはYOSHI-HASHIの“誓い”でした。
『明日、あとひとつ。
このね、あと一歩っていうの、どれだけ程遠かったか、俺はもう身をもってわかってるから』
本日のCHAOS対決を制すれば、YOSHI-HASHIにとって初のベルト戴冠です。
あと一歩というチャンスは何度もあった分、その距離の遠さを最も理解しているのもYOSHI-HASHIでしょう。
2012年の東京ドーム大会でオカダカズチカと共に凱旋帰国したYOSHI-HASHI。
あと1勝すれば届く初の栄冠。
しかし、その一歩が届かなかったのがこの8年間です。
思えばYOSHI-HASHIが最初に手にした大きなチャンスは、2016年のG1クライマックス初出場だったのかもしれません。
この年のG1覇者となるケニー・オメガに対し、初戦で新技カルマを披露しての金星。
東京ドーム挑戦権利証を賭けての一戦は、夢を抱くようになった第一歩だったのかもしれません。
この後も、何度も夢を見させて貰いました。
2017年、当時NEVER無差別級王者だった鈴木みのるへの挑戦。
同年にはIWGP USヘビーのベルトを懸け、ケニーと再戦もしています。
2018年にもジェイ ・ホワイトに蹂躙されるオカダを助けるために控え室から猛ダッシュするも、花道で転び大怪我をしてしまうというアクシデントもありました。
昨年のザック・セイバーJr.とG1出場権を懸けての一戦では、多くの批判も浴びています。
あと一歩の闘いに、これだけ苦労を重ねた選手は他にはいないでしょう。
常に温かい目で応援され続けられていたわけでもありません。
何かあれば批判も浴び、心ないファンから誹謗中傷もありました。
しかしYOSHI-HASHIのベルト初戴冠は、共に闘う仲間達の夢でもあり、ファンが追いかけ続けた夢です。
あと一歩でベルトを巻けるチャンスが再び訪れました。
そしてその一歩が途方なく遠いことを、本人が一番知っています。
誰でも物事を変えられるわけでもない事も、努力をどれだけ重ねても報われない努力があることも、全て理解しているでしょう。
今夜の対戦相手は、8年前同日に凱旋帰国したオカダカズチカです。
YOSHI-HASHIが持っていない、殆どの栄冠を手にしたオカダが相手なんです。
誰よりも不安を抱き、誰よりも困難な一戦だと理解しているYOSHI-HASHIが、私達に夢を見せると宣言してくれました。
『でもね、俺はね、明日、あなた方にですね、夢を見せたいと思っております!明日の試合後、俺は、この言葉を叫びたいと思います。物事が変わるのは一瞬だぁ』
一度も踏むことができなかった最後の一歩を、今度こそみんなで踏みたいと思います。
そして、今ならその一歩が踏める気がするんです。
彼の背中は推したい背中なんです。
今夜、8年間の苦悩が報われる瞬間が訪れる為にも、私は応援したいと思います。