レッスルキングダムで飯伏幸太相手に繰り出した、ウィル・オスプレイのバックエルボー(バックブロー)。
私もインパクトの瞬間“ヤバい”って思ってしまいました。
案の定飯伏は動けなくなり、試合後三澤トレーナーが駆けつけ、後日公式から正式なアナウンスがあり脳震盪でしばらく欠場と発表されています。
この一件でファンの間では、“あのバックエルボーは危険な技”と認識されたのではないでしょうか。
しかし、オスプレイはこのバックエルボーを使い続けています。
私のTwitterのフォロワーさんにも、この技を使い続けることに不安を抱く方が多くいます。
なぜ、オスプレイはこの技を使い続けるのか?
なぜ、会社は止めないのか?
私はプロレスラーでもなくプロレスラーに技をかけられた経験もないですが、自分なりにこの件を検証してみました。
①なぜ飯伏は脳震盪を起こしたのか
1つは、あのバックエルボーが強力だったと言うのが最大の理由でしょう。
HONOR RISINGでダルトン・キャッスルとジェフ・コブに繰り出した時に比べ、相手までの助走距離とスピードが違いました。
東京ドームでの飯伏幸太とのタイトルマッチというシチュエーション上、いつも以上にアドレナリンが出ていたのでしょう。
もう1つの理由がバックエルボー後、リングに顔を強打していたということ。
インパクトの瞬間とリングに強打した瞬間とで、コンマ何秒の世界で2度頭部に大きなダメージを受けたのが、あの時の脳震盪に繋がったのだと思います。
②後頭部への直接の打撃はタブーなのか
後頭部へ直接打撃を与える技は他にもあります。
例えば背後からのラリアットやアックスボンバー。
蹴り技だとジャンピングハイキック。
もっともポピュラーで多くの選手が使う技だと、延髄蹴りがあります。
オスプレイのバックエルボーの場合、技を出すまでに溜を作り身構えるので強力そうに見えます。
また、腕を振り抜きフルスイングしているように感じるのも、あの技を危険に感じる要因なのでしょう。
ただし、飯伏戦以外は頭部に当たってからのスピードを重視しています。
感覚でいうと“当てて押している”ということ。
それはオスプレイも意識しているんだと思います。
③バックエルボーは腕の“どこ”を当てる技なのか
恐らくここが重要なのでしょう。
あのオスプレイの技が文字通り肘(エルボー)を頭部に当てているなら、かなり危険な技なんだと思います。
しかし、何度見ても肘を後頭部に当てていません。
飯伏に対しても、ダルトン・キャッスルやジェフ・コブに対しても、同じ箇所を当てています。
では、どこを当てているのか?
上腕三頭筋です。
分かりやすく言うと肘と肩の中間、力瘤を作る場所の裏側となります。
上腕三頭筋ということは肘や拳と比べて肩からの距離が近く、遠心力で考えると円の中心側に近い場所に当たるので動いている距離が短いと言えるのではないでしょうか。
つまり、肘を当てるバックエルボーより強力ではないと言えますし、バックブローと呼ぶ方が正しいのかもしれません。
結局、危険なのかどうか…
危険か危険じゃないかと言えば、危険な技の部類に入るのかもしれません。
いや、そもそも危険じゃない技などは殆ど存在しないのではないでしょうか。
プロレスラーがその技を使い続け、新日本もNGを出さないということは、問題ないと判断されているということ。
危険な技をひとつひとつ説明してもらえないことに不安はあるでしょうが、それもプロレス含めてプロレスです。
どの技にも怪我のリスクが存在する以上、技を出す選手、技を受ける選手を信頼するしかない…
結局、あの技を非プロレスラーの私達が“使ってはいけない技”と判断するのは不可能です。
怪我しないよう、毎日受け身の練習をし続けるレスラー達を信じるしかありません。
オスプレイのバックブローに恐怖心を抱いている方の不安が、少しでも取り除けていることを願うばかりです。