「オカダカズチカvs清宮海斗」実現までの壮大な物語

オカダカズチカ、清宮海斗【撮影:koba】
備忘録




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正式決定した武藤敬司引退興行でのオカダカズチカと清宮海斗とのシングルマッチ。

横浜アリーナで行われた新日本プロレスとプロレスリング・ノア(以下NOAH)の対抗戦でのノーコンテスト以降、清宮との対戦を拒絶してきたオカダでしたが、NOAH大阪大会の強襲で清宮と闘う意思を表明。

 

昨日行われたNOAH東京ドーム大会第2弾記者会見は、サンノゼ大会でのタイトルマッチに集中したいからという理由でボイコット。

怒りを露わにする清宮に対し、オカダは外食画像をSNSにアップさせる余裕を見せつけました。

 

正直、オカダが会見に来ていたら乱闘騒動になっていた可能性もあったでしょう。

怪我なく東京ドームで試合するためにも、オカダのボイコットという選択は間違いではなかったのかもしれません。

それ程までに互いの感情が昂っているのを感じる世紀の一戦。

武藤敬司引退興行の他の試合とは一線を画す決闘と言えます。

SNSでも互いのファンが一触即発な雰囲気さえ醸しだす異様な緊張感です。

 

清宮海斗とNOAHがオカダ戦に辿り着くまでの物語

 

新日本の横浜アリーナ大会の試合で、オカダに相手にされず顔面蹴りから発展したシングルマッチ。

1年前の対抗戦でタッグマッチながらオカダのレインメーカーに敗れ、涙した清宮のリベンジが遂に実現するシチュエーションと言えるでしょう。

しかし、もっと遡れば清宮海斗とNOAH関係者の執念で掴み取ったシングルマッチとも言えます。

 

清宮が最初にアクションを起こしたのは約3年前

コロナ禍でプロレス興行が行えず無観客でプロレスマッチを配信していたNOAHですが、ライブ配信で清宮が爆弾発言をしました。

それと、これは俺の頼みというか…

“レインメーカー”をこの体で体感したい!

 

事前にNOAH関係者に許可を得ず、独断で新日本プロレスのオカダとの対戦要望を口にしてしまった清宮。

新日本と交流があったタイミングでもなければ、先の見えないコロナ禍で各団体自前のコンテンツを発信するので精一杯な時期でした。

後日談として、この勝手な行動はかなり怒られたと語っています。

 

そもそもなぜ清宮は急に『レインメーカーをこの体で体感したい』と言い出したのか?

現在GHCヘビー級王者である清宮ですが、これは初戴冠ではなく2度目の戴冠です。

初戴冠は団体最年少記録を更新した22歳4ヶ月の2018年12月。

そこから清宮は破竹の勢いでNOAHの至宝を防衛し続けました。

結果、防衛回数は6回を数え2019年を年間通してGHCヘビー級王者として君臨しています。

 

この活躍にもしかしたらプロレス大賞MVPを獲得できるのではないかと、NOAH関係者、NOAHファン、清宮本人も期待していたでしょう。

しかし、MVPを受賞したのは4月のマディソンスクエアガーデン大会でIWGPを戴冠し、それ以降IWGP王者として君臨した新日本プロレスのオカダカズチカでした。

この年、プロレス大賞MVPを獲得できなかった清宮は敢闘賞を受賞しています。

 

2020年の1月4日のタイトルマッチでGHCヘビー級王座から陥落してしまった清宮ですが、自分に何が足りなかったのか、オカダとの差は何なのか自問自答したのでしょう。

オカダに追い付き越えるためにはオカダを知る必要があると考えていただろう清宮。

その結果として、清宮は3年前に『レインメーカーをこの体で体感したい』とオカダとの対戦を熱望したんだと思います。

 

夢を叶えたNOAH関係者

 

NOAH関係者で著名人物といえば、武田有弘取締役。

会見にも登場するNOAHの重要人物ですが、3年前の清宮の『レインメーカー』発言後、どうにか「オカダカズチカ vs 清宮海斗」を実現させたいと語っていました。

この3年間、コロナ禍の状況でもNOAHの魅力を発信し続け、結果2022年の新日本との対抗戦に辿り着いた武田取締役。

ここからさらに1年掛かりましたが、遂に「オカダカズチカ vs 清宮海斗」を実現させることに成功しました。

先日、武田取締役がツイートした3年前に決めた共通目標とは、清宮海斗のオカダとのシングルマッチ実現なんだと思います。

 

オールスター戦を熱望していたオカダカズチカ

 

NOAHの未来である清宮と武田取締役が叶えたオカダ戦ですが、実はオカダ本人も3年前、団体の枠を越えたオールスター戦を熱望していました。

2019年度のプロレス大賞MVPを受賞したオカダは、翌年1月に行われたプロレス大賞授賞式でこんな発言をしています。

『せっかくの五輪イヤー。五輪があったね、じゃさみしいじゃないですか。プロレスでもオールスター戦があったんだよ、となればいい。若い人たちのパワーでさらに(プロレスを)広めることができたら。いろんな団体の発展にもつながっていく』

引用:日刊スポーツ

 

背後から顔面を蹴ってオカダをキレさせた清宮と、その清宮との対戦を拒否したオカダ。

3年前に本人達が口にした夢や希望が、遂に来週実現します。

武藤敬司引退興行となる2・21東京ドーム大会は、まさしく多くの団体が参加するオールスター戦となりました。

『日本プロレス史上最大の夜』と謳われた東京ドーム大会ですが、決して大袈裟ではないかもしれません。